「DAOは自律的に機能し得るのか」特集
2021年11月26日
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「DAOは自律的に機能し得るのか」特集
数年前まではDAO(自律分散型組織)といえば、The DAO(Genesis DAO)の話が持ち出される程度の印象を筆者は抱いていましたが、DAOと名乗る組織形態が増えてきたことやそれらに参加する人々が増加してきたことを背景に、国内でもDAOを身近に感じDAOとは何かという議論がSNS上で繰り広げられています。この新たな組織形態を理解し、社会に取り込んでいこうとする意欲の高まりのようなものを感じています。
特に最近はDAOとして成功しているかのように見えていた、Sushiコミュニティの今後の動向について話題になっています。
上記ツイートを要約すると、コミュニティ内政治に起因した腐敗を告発したものです。
DAOと言えども人が統治する組織ですので、組織である以上はリーダーシップを発揮する人物も必要になり、加えてそこに利益や意思決定の権限が集中してしまう構造があるのであれば派閥が生じる可能性はあるわけです。
もし仮にこの構造が変えられないのだとしたら、トップ層はこれらの利益や意思決定権を自ら放棄するか、痛みを伴って他者から追い出されるかしなければ、組織の新陳代謝は起きません。
それ故に自律分散型組織のトップ層は従来型組織よりも「はるかに重要な存在であり、はるかに重要ではない存在である」とも言えると筆者は感じています。
またこれに関連してDAOのガバナンスとは如何にあるべきか、今の民主主義的な意思決定方法はスケールし得ないのではないかという意見も話題になりつつあります。
この点は従来のホラクラシーやティール組織のような分散型組織が個やチームレベルに意思決定権を持たせようと環境整備をしていたのに対して、いわゆる執筆時点でのDAOはあくまで民主主義で意思決定をしようとしていることから生まれているジレンマです。
これはコミュニティの規模が大きくなるほどに多様な意見を持つ人物が意思決定に関与してくるわけですから、それらを全て受け入れることで意思決定ができない、または保守的な選択しかできなくなる可能性も懸念されます。もちろんガバナンストークン保有者が代表者に委任するという方法も考えられているわけですが、一方で美人投票になる可能性は否めないでしょう。
仮に民主制にする目的そのものが機能しないのであれば、わざわざ非効率な分散形態を選択する意味は何なのかという点やスケールするために、意思決定権を個やチームレベルに委譲する方法なども今後は模索されていくのではないでしょうか。
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