論考:コミュニティでプロダクトを保有するという概念 浸透しつつあるDAO(自律分散型組織) がガバナンスするサービス形態
2020年10月10日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- コミュニティでプロダクトを保有するという概念とは何か
- 実際の事例:2020年はDeFiの年でもあったがDAOの年でもあった
- yearn.finance
- SushiSwap
- DAOが株式会社より優れている点があるとすれば何か
- ・各プロダクトのキャッシュフローをプールし、どのように利用するか柔軟に決められ、透明性が高い
- ・グローバルでオープンに提案を受け付けることが出来る
- ・株主ではなく真にコミュニティがプロダクトを保有することによる高いエンゲージメント
- ・従業員がほぼ存在せず固定費が必要ない
- コミュニティでプロダクトを保有するという概念は今後どのように浸透するか筆者の予想
- 総論
前提
本レポートでは、コミュニティでプロダクトを保有するというトレンドについて解説、および筆者による論考を述べます。
株式会社ではない新しい組織形態であるDAO(自律分散型組織)をブロックチェーンで実現させようとする試みは2015年頃から存在しました。当時から今に至るまでDAOの実験は様々な形で行われており、これからも加速すると思われますが、2020年はDAOが最も浸透した年になるのではないかと筆者は考えています。
現在、パブリックブロックチェーン上で公開されているアプリケーション群には、スマートコントラクトコードが特定の株式会社に帰属せずに収益を生み出している事例が複数存在します。特定の株式会社に帰属しないとは、ガバナンストークンを媒介にした不特定多数の参加者によるコミュニティによって管理されているということです。それがDAOと呼ばれる概念でもあります。
このようなコミュニティでプロダクトを保有するという概念が成立しつつあること、その事象をより深く理解していくことが本レポートの趣旨です。現状の解説をした上で、これらコミュニティが保有するプロダクトがどのように進展していくか筆者による予想を述べます。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。