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暗号資産でインカムゲイン(継続的収益)を得る方法まとめ

2021年09月18日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 暗号資産でインカムゲイン(継続的収益)を得る
  • CeFiでのレンディング
    • ・取引所でのレンディング
    • ・レンディング専門事業者
  • DeFi(分散型金融)
    • レンディング(AaveやComppundなど)
    • AMM型取引所の流動性提供
  • PoS銘柄によるステーキング
  • 特殊なジョブのノード運営
  • 総論

暗号資産でインカムゲイン(継続的収益)を得る

本ページでは、暗号資産でインカムゲイン(継続的収益)を得る方法をまとめます。一般的に、インカムゲインとは、株式や債券あるいは暗号資産などの資産を保有中に得られる金利のような収益のことです。
インカムゲインがつく金融商品としては最も代表的なものは米国債です。米国債10年は年間1-1.8%程度の金利がつきます(2021年)。他にも、株式でも貸株という手法で証券会社に株式を貸し出しすることで、手数料を得ることができます。証券会社は借りた株をショート取引をしたい人などに対して融通します。また金利が低いためあまり意識をしないかもしれませんが、銀行の普通預金もインカムゲインの一つです。日本国内ではネット銀行の金利が比較的高く、条件を満たせば0.1%程度の金利がつくこともあります。
このようなインカムゲインは原資産の価格の上下に関わらず継続的収益を得れるため収益が予測しやすいことや、原資産のキャピタルゲイン(売買の利益)とインカムゲインを両取りすることで期待収益を大きく高めることができます。
暗号資産の世界にも様々なインカムゲインを獲得する方法があります。特に暗号資産では3-10%、場合によってはもっと高いインカムゲインの獲得機会があり、伝統的金融市場と比較して継続的収益を得やすい環境にあると言えます。
方法は多岐に渡り、CeFi(株式会社運営の中央集権サービス)でのレンディング、DeFi(分散型金融)、ステーキングなどが挙げられます。ここではそれぞれについて概要を解説すると共に、それぞれのリスクについて網羅します。
継続的収益を得るということは、原資産をリスクに晒すことに他なりません。原資産は失わない契約になっていたり、プログラムによって保護されていることが基本ですが、それでも不慮の事態は起こり得るものです。そしてその不慮の事態を把握することこそがリスクの認識です。
今回はそれぞれの方法に対してインカムゲインが発生する仕組みと、内包するリスクについて理解することを目指します。

CeFiでのレンディング

まずCeFi(株式会社運営の中央集権サービス)でのレンディングです。これは取引所が展開サービスの1つとして扱っている事例もありますし、レンディングを専門的に扱っている事業者も存在します。
株式会社運営の中央集権サービスの典型的なリスクは、当該企業の倒産です。この特性は取引所、専門事業者も変わりはしませんが、当該企業が借り入れした資産をどのように扱っているかの傾向は両者で変わってきます。

・取引所でのレンディング

ユーザーは取引所のレンディングアカウントに資金を入れることで、決まった間隔でインカムゲインを得ることができます。
取引所は借り入れた資産を、レバレッジ取引するユーザーのために融通をすることが最も主要な利用方法です。ですが、あくまで最も主要な方法であって、最近では資金の取り扱い方は多様になりつつあり、後述するレンディング専門事業者との境が薄れることも予想されます。
また日本の取引所の場合は自主規制によって、取引所の取り扱い銘柄でホットウォレットで保管している分と同額を自己で保有しないといけない規定があるため、その分を借り入れで賄うことがあります。これによって取引所側は金利を払うことで価格変動リスクを避けることができます。

・レンディング専門事業者

ユーザーはレンディング専門サービスのレンディングアカウントに資金を入れることで、決まった間隔でインカムゲインを得ることができます。レンディング専門事業者はレンディングを専門にしているため借り入れで扱う資金量は最も大きい部類であり、その大きい資産をマネジメントするには様々な手法が用いられます。
大手レンディング事業者は多様な運用をしていますが、具体的には以下のようなものです。
・リテール顧客・機関投資家への貸し出し
・取引所内でのアービトラージやマーケットメイキング
・証券と現物のアービトラージ
・ステーキング
・マイニング
・DeFi
実際にはこれらをどのように組み合わせているかは事業者によりますし、その組み合わせの割合は利用者からは見えないものとなっています。ただし一般的にはある程度の規模のレンディング事業者は運用方法が一種類ということはほとんどなくなっています。

例えばレンディング最大手BlockFiは、Grayscale InvestmentsのBitcoinやEthereumの投資信託を相当量保有して現物とアービトラージをしています。しかし彼らは機関投資家やリテールへの貸し出しも行いますし、異なるマーケットメイキングも行っています。
なお、当社HashHubもレンディングサービス「HashHub Lending」を展開しています。

https://www.hashhub-lending.com/
また、当社サービスにおけるリスクの考え方ではありますが、他のレンディングサービスにも通じる箇所もあるためこちらも参照ください。

DeFi(分散型金融)

DeFiはスマートコントラクトで構成された金融サービスあるいはプロトコルの事で、これを使う事でも収益をあげられます。中にはAPR100%など高額な収益が宣伝されるプロダクトも存在しますが、もちろんリスクフリーでそれだけの収益を得れることはなく、相応のリスクがあります。
DeFiで収益を期待したい人の心構えの大前提としては何があっても自己責任であり、高いリテラシーや日頃から調査を続ける時間などが必要になってきます。DeFiのプロダクトは多岐に渡り、自分自身で調べ続けたり資金をデポジットする前のデューデリジェンスが必要です。DeFiに関連する一般的なリスクは下記が詳しいです。
一般的にDeFiでインカムゲインを得る方法は大きな分類では2つに分けられます。まずCompoundやAaveなどのレンディングプロトコルで貸し出しと、次にUniswapのAMM(Automated Market Makers、自動マーケットメイカー)型の分散型取引所での流動性提供です。

レンディング(AaveやComppundなど)

DeFiのレンディングの特徴としては複雑なプロトコルを使っていなければリスクは比較低いです。しかし金利も低い場合が多いです。
貸し手はスマートコントラクトのプールに資金がデポジットでき、借り手はそのスマートコントラクトプールから資金を引き出すことができますが、それには別の資産を担保にする必要があります。
AaveやCompoundはローンチ時から今日時点まで一度も事故がなく稼働しており、堅牢性の高いプロトコルとして評価されているレンディングプロトコルです。しかし類似の仕組みのものでも、仕組み上全ての資産を1つのスマートコントラクトで扱っていることから、信用の低い資産を混ぜているレンディングプロトコルが債務超過になる可能性はあり、これはDeFiレンディングプロトコルの典型的なリスクです。

AMM型取引所の流動性提供

AMM型取引所の流動性提供とは、自動でマーケットメイキングするスマートコントラクトに資金をデポジットして、それによって報酬を得ることを指します。報酬には取引手数料と、各取引所によりますが取引所自体の独自トークンが配られ(イールドファーミング)、それが高い利率の仕組みになっています。
特徴はフロントエンドに表示される表面APYは高い可能性があるものの、Impermanent Lossと呼ばれる特有のリスクがあります。表示されている利回りが高くとも、実際に得る利回りはそれを下回る場合や、場合によっては資金投下時点と比較して損失を得る可能性も決して少なくありません。
また基本的にAMM型取引所の流動性提供では、特定の2つの資産を同量ペアにする必要があるため、ペアを用意しないと行けない点もデメリットと言えるでしょう。

PoS銘柄によるステーキング

PoS銘柄によるステーキングもインカムゲインを得る代表的な方法です。
BitcoinをはじめとしたPoWでは計算力が高いノードがブロック生成をしてブロック報酬を得ます。これに対しPoSではネイティブトークンを保有するノードがステーキングをしてノード運営することでブロック生成を行い、ブロック報酬を得ます。結果的にネイティブトークン保有者は金利のようにインカムゲインを得ることができます。
例えばEthereum 2.0のステーキングでは2021年9月時点で年間6.15%の報酬がもらえます。

https://www.stakingrewards.com/earn/ethereum-2-0/
ステーキングの典型的なリスクとしては、ノード運営をしていたもののオフラインになったり二重署名をしてしまうと、ペナルティとして資産が没収される可能性があります。個人として運営するには一定の技術的知識が必要です。なお、ペナルティの方式やノードとして求められるスペックはプロトコルごとに変わってきます。このリスクを軽減する方法として、ステーキングプールと呼ばれる専門事業者に委託する手法もあります。

特殊なジョブのノード運営

PoSのステーキング以外に、特殊なジョブのノード運営をすることでインカムゲインを得る方法もあります。ここではBitcoinのLightning Networkを紹介します。2021年に入ってからLightning Network上のキャパシティは増え続けており、決済手段として少しずつ使われるようになってきています。
https://bitcoinvisuals.com/lightning
Lightning NetworkはBitcoinのレイヤー2で、高速かつ安価な支払いができます。
Lightning Networkはペイメントチャネルの応用です。Lightning Networkは、第三者も含む双方向のペイメントチャンネルを構築します。ペイメントチャネルは、二者間で送金用のチャネルを開き、複数回数送金しあった最後の結果をオンチェーンに記録する技術です。まず、送信者と受信者が鍵を持つマルチシグのウォレットに固定のBitcoinをデポジットします。このとき、チャネル開設のスクリプトを載せてトランザクションを送ることで「チャネル」というものが開きます。チャネルにはデポジットした人同士のBitcoinが供託金となり、Bitcoinを持っていることが証明されます。Lightning Network上には多くのチャネルが開いてあり、それらのチャネルを経由して目的の相手に送金をします。より多くのチャネルと繋がっているノードがハブの役割を果たすという設計が基本概念です。
このハブとなるノードを運営することで手数料収入を得ることができます。執筆時点で収益性はそれほど大きくありませんが、今後Lightning Network上のアクティビティが増加すると収益性が高まることもありえます。
このような特殊なジョブのノード運営は他にも様々な形式があり、例としてChainlinkGraph Networkなどが挙げられます。

総論

本ページでは、暗号資産でインカムゲインを得る方法をまとめました。
冒頭で述べた通り、暗号資産市場は伝統的金融市場と比較してインカムゲインを得やすい環境にあると言えます。その背景は、本ページで説明した通り、プロトコルによる収益がプログラマブルで設計されていることやグローバルで資金の需要と供給がマッチングされることなどいくつかの要素によって構成されていると言えます。
継続的収益をリスクフリーで手にすることは不可能ですが、リスクを認識して自分が取るコントロールしたうえでインカムゲインの恩恵を得ようとするには十分魅力的な機会がある市場であると言えます。参考になれば幸いです。

※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。

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