オラクルシステムとして存在感を示すChainlinkの概要・トークン設計。GoogleやSWIFTとも提携する分散オラクルプロジェクトとは
2019年09月12日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 不正が困難な分散性のあるオラクルを構築するためのアプローチ
- Chainlinkの仕組み
- Reputation Contract
- Order-Matching Contract
- Aggregating Contract
- LINKトークンによる不正防止設計、ユースケース
- ICO・トークンディストリビューション
- 開発会社SmartContractとミドルウェアとしてのChainlink
- Googleとの連携。Google CloudのBigQueryデータをオラクルとして利用できるように
- SWIFTとの協業事例、その他パートナーシップ
- 総論
前提
オラクルとは、ブロックチェーンの外に存在するデータや出来事を、ブロックチェーンの内部に伝えるブリッジの役割を指します。
将来、ブロックチェーンやスマートコントラクトを介した取引では、相手を信頼できなくとも、コードやプログラムといったシステムを信頼した取引が行えることが期待されます。
しかし、実際にそれが実現するまでいくつか存在する課題のうちの大きなものがオラクルシステムです。
例えば、スマートコントラクトを介した保険で飛行機の遅延保険を購入したとして、遅延が起きたら1000ドル支払われるという条件のコントラクトが定義されていたとして、そのコントラクトも検証可能であるとします。
しかしながら、遅延の有無を確認できるデータソースとそれを報告する機能に嘘をつける余地があるとしたら、これはシステムを信頼できる新しい契約形態としての地位を得ることは出来ないでしょう。
遅延の有無を確認できるデータソースとそれを報告する機能、つまりブロックチェーンの外に存在するデータや出来事をブロックチェーンの内部に伝える機能である、スマートコントラクトの執行を行うトリガーになりますが、これに不正の余地があるのであれば、スマートコントラクトを実用することは難しいといえます。
このオラクルを構築するにあたり不正の余地がない仕組みを目指して数多く考案されていますが、その中でも2019年9月の時点で、最も存在感が大きいプロジェクトがChainlinkです。
オラクルにおいてデータの取得元は多岐に渡り、APIで取得できるマーケット情報や天気から、サプライチェーンで利用するならばRFIDタグなど様々なものが想定されますが、これを正確にブロックチェーン内部に取り組むためのプロジェクトです。
Googleのクラウドシステムと連携する他、様々な提携を経て注目を集め、システムも機能しはじめています。
Chainlinkのエコシステムで用いられるトークン(LINK)も2019年に大きく価格を高騰させています。
本レポートでは、オラクルシステムとして存在感を示すChainlinkの概要・トークン設計・仕組みに焦点をあてて解説します。
Chainlinkに限らず、オラクルについて広く概観したレポートは以前に下記で配信しています。
レポート:ブロックチェーンのオラクル問題を理解する。オラクルに関する主要プロジェクトの概観。
https://hashhub-research.com/articles/2019-01-24-overview-oracle
https://hashhub-research.com/articles/2019-01-24-overview-oracle
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