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SolanaとDePINエコシステムの最前線 ~HivemapperとHeliumエコシステムのいま~

2024年03月11日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • #1_Hivemapper(ハイブマッパー)
  • #1-2_Net Emission(ネットエミッション)とは
  • #2_Helium mobile(ヘリウムモバイル)
  • #2-1_Helium(ヘリウム)エコシステムの変遷、現状の解説
このスライドでは、ブロックチェーンごとに異なるDePINプロジェクトの市場動向をバブルチャートで分析しています。時価総額を縦軸に、24時間の取引量を横軸に設定し、バブルの大きさでプロジェクトのSNSフォロワー数、つまり認知度を表しています。なお、比率を可視化するために対数スケールを採用しています。実際の量はスライドの右下にある線形スケールバージョンで別途示しています。

Solana上のDePIN

市場を時価総額と24時間の取引量で測ると、SolanaはEthereumに次ぐ規模のDePIN市場を構築していることが見てとれます。Ethereumに比べて大規模なプロジェクトの数は少ないものの、Solana上で展開されているRenderやHeliumエコステムなどは、認知度、時価総額、取引量の面で、DePIN市場全体において目立った存在感を示しています。
DePINプロジェクトがSolanaを選ぶ理由には、Solanaが提供する高速なトランザクション処理能力、手頃な手数料、そして卓越したスケーラビリティが大きく影響しています。これらの特性により、成長し続けるユーザーベースのニーズと報酬計算の要求に、効率的かつスムーズに応えることができます。結果として、SolanaはDePINプロジェクトにとって魅力的な基盤となり、選ばれる理由となっています。
本レポートでは、Solanaブロックチェーンを基盤とするDePINエコシステムと主要プロジェクトの現状を取り上げ、概略を解説します。「Solanaの現況」と「DePINの概要」については、以下のレポートで詳しく説明しています。
【関連レポート】
  1. Solanaの現状|勢いを見せ独自に成長するエコシステムの基本概要
  2. DePINの概要 物理ネットワークをトークンでブートストラップするWeb3プロジェクト郡
また上スライドに表示している幾つかのSolanaベースのDePINプロジェクトは以下のレポートで解説しています。
  1. RENDER NETWORK(RNDR)の概要 分散型GPUレンダリングネットワークとは
  2. IoT向けのネットワークをクリプトエコノミクスで実現する Heliumの概要・トークンの役割の解説
  3. Hivemapperの概要 Drive to Earnで稼げる分散型地図プロトコルの将来性の考察
  4. 再生可能エネルギー取引をサポートするソフトウェアプラットフォーム「Power Ledger」及びカーボンニュートラルな集合住宅プロジェクト「Montreal Commons」概観

【要旨】

出所:DePINscanデータをもとに筆者作成(※調査時点の数値)
  • 本レポートの対象:Solana上のDePINプロジェクト
  • 該当プロジェクトのうち、【デバイス投資回収期間】が短い上位2つのプロジェクトを抽出。 
    • DePINscanの数値を参考に調査した結果、1.Hivemapper、Heliumエコシステムの2.Helium 5G(Mobile)の順に【投資回収期間】が短いという結果を得ました。本文では上記2つのプロジェクトについて、その仕組みと調査時点の現況を、1枚のスライドにまとめます。 
      1. Hivemapper
      2. Helium 5G(Mobile)
  • 今回紹介するSolana DePINをよりよく理解するために以下2本のコラムを記載 
    1. 「Net Emission(ネットエミッション)とは」
      今回取り上げる3つのDePINプロジェクトでは、共通して「ネットエミッション(Net Emission)」というトークン発行機構が採用されています。この仕組みがどのような目的で使用され、どのように機能するのかを説明します。
    2. 「Helium(ヘリウム)エコシステムの変遷と現状」
      2013年に開始したHelium(ヘリウム)は調査時点で当初のHeliumブロックチェーン上のIoTネットワークとは別に5Gモバイルネットワークが存在し、ネイティブトークン$HNTとは別に$IOT、$MOBILEの計3種が存在しています。これまでの変遷とエコシステムの現状を本コラムにて解説します。

#1_Hivemapper(ハイブマッパー)

【基本情報】
ウェブサイト:https://bee.hivemapper.com/
エクスプローラー:https://hivemapper.com/explorer
X:https://twitter.com/Hivemapper
Linkedin:https://www.linkedin.com/company/hivemapper/
DePINscan:https://depinscan.io/projects/hivemapper
$HONEY_コントラクトアドレス(Solana):4vMsoUT2BWatFweudnQM1xedRLfJgJ7hswhcpz4xgBTy

#1-2_Net Emission(ネットエミッション)とは

Net Emission(ネットエミッション)とは排出量プラスマイナス・ゼロの意であり、トークノミクスの文脈では、ネットワーク利用に伴い焼却されたトークンと同等量のトークンのみを報酬として新規排出し、市場供給量をプラスマイナス・ゼロの状態に保つという戦略のことを指します。これにより、トークンの過剰インフレを避ける形でプロトコルに永続的な報酬機能を持たせることが可能となります。
例えば、Hivemapperの$Honeyトークノミクスはこのモデルを採用しており、さらに、後に説明するHelium経済圏の$HNTも同様にこのモデルを利用しています。これは、継続的な報酬が求められるDePINプロジェクトとネットエミッションモデルの相性が良いことを示しています。

#2_Helium mobile(ヘリウムモバイル)

#2-1_Helium(ヘリウム)エコシステムの変遷、現状の解説

2013年_IoTデバイス向けLoRaWANプロトコルとHeliumブロックチェーンの開発

2013年、HeliumはIoTデバイス向けに特化したLoRaWANプロトコルと独自のブロックチェーン技術を駆使して、消費者が所有するワイヤレスネットワークの構築に乗り出しました。その革新的な取り組みは、2021年にさらなる飛躍を遂げ、消費者が所有する5Gネットワーク設立の実現へとつながっています。この分散型5GネットワークはFreedomFiとの協力のもと、5G対応のマイニングデバイスやHelium 5Gネットワークへの接続を可能にするSIMカードを販売し、米国内でのサービス展開に成功しています。調査時点では米国限定での提供となりますが、将来的には国際的にサービスを拡大し、さまざまな周波数帯での展開が予定されています。

2022年_Helium経済圏傘下に複数のサブネットワークを構築

2022年には、Heliumエコシステムは大きな転換点を迎えます。IoTデバイス専用のネットワークから進化し、Helium傘下に5Gネットワークを含む複数のサブネットワークが設立されることとなりました。日々変化するネットワーク需要に対応することを目的に、$HNTトークンを中心としたメインのHelium経済圏傘下に、独自トークンを実装したサブDAO中心の経済圏「ネットワークのネットワーク」構想の採用に至ります。
「ネットワークのネットワーク」構想|出所:https://decrypt.co/102610/helium-crypto-wireless-network-to-launch-new-tokens-amid-expansion
この段階で、Heliumのネイティブトークンである$HNTは、単なるホットスポット(ノード)のホスティング報酬から、Heliumエコシステム全体の基軸通貨へとその役割を変化させました。そして、$MOBILEと$IOTは、それぞれが特定のネットワーク活動に対する報酬トークンとして機能するようになります。

2023年_Solanaへの移行

2023年4月18日、Heliumエコシステムはさらなる大きな一歩を踏み出し、その基盤を既存のHeliumブロックチェーンからSolanaへの移行を発表しました。この移行により、$HNTトークンと5Gネットワーク用の$MOBILEトークンがSolanaプラットフォーム上で活動を開始し、ホットスポット運営の権利をSolana上のNFTとして新たに発行することになりました。なお、LoRaWANホットスポットによるHeliumブロックチェーン上のマイニングは継続され、その報酬には$IOTトークンが使用されています。
参照:https://blog.helium.com/its-here-the-helium-network-migrates-to-solana-today-6b24d05ba57d

調査時点のHeliumネットワーク

現在、Heliumネットワークは世界中の3,800以上の都市で400,000以上のホットスポットを擁し、その活動範囲を日々広げています。現在のネットワークの利用状況を確認すると、モバイルネットワーク用のノードが調査時点の中心となっており、IoT用ネットワークの利用状況は全体の約10%を占めるに留まっています。
出所:https://explorer.helium.com/stats

一方、IOTとMobileのアクティブホットスポット数を確認すると、IOTが395,630であるのに対して、Mobileはその1/30程度の12,676です。
出所:https://explorer.helium.com/stats

これは前述したように調査時点のMobileサービスが米国のみの対応であることに起因します。法域ごとにモバイル通信サービスを提供する条件(デバイスの規格等含む)が異なりますから、ここ数ヶ月で世界中にサービスが普及していくとは考えにくいですが、中長期的にはHelium Mobileのようなユーザー管理による分散型モバイル通信サービスが米国以外のモバイル通信市場の一部シェアを担う未来もあり得るでしょう。
出所:https://explorer.helium.com/stats


【2024年3月時点のSolana経済圏近況解説レポート】
  1. Solanaの現状|勢いを見せ独自に成長するエコシステムの基本概要
  2. SolanaとDePINエコシステムの最前線 ~HivemapperとHeliumエコシステムのいま~
  3. Solana NFT市場の潮流~TensorとMagicEdenによる市場競争とその影響~

※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。

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