DeFiマーケットレポート【2023 Q1】
2023年04月20日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- DeFiマーケットレポート 2023 Q1
- 【1月のポイント】
- 【2月のポイント】
- 【3月のポイント】
- 【2023 Q1のまとめ】
- 2023 Q2に向けた展望
- 規制動向による影響
- 技術動向による影響
- 総括
前提
本レポートは、DeFiマーケットにおける2023年第1四半期(2023年1〜3月)を振り返るまとめです。当該期間の状況をひとつのレポートで理解でき、今後の展望を把握することができます。
【2023年Q1レポートの一覧】
【2023年Q1レポートの一覧】
DeFiマーケットレポート 2023 Q1
【1月のポイント】
1月のデータによると、TVLは前月から80.9億ドル上昇し、472.4億ドルに達しました。PolygonのTVLをArbitrumが上回るという動きが見られました。Ethereum Shanghaiアップグレードのテストネットが実装され、リキッドステーキングへの期待が高まっていました。DEXの出来高は回復基調が強く、dYdXの収益が2倍以上に伸びたことが特筆されました。一方で、規制などの外部環境に左右されやすい状況が続く見込みである状況でした。
【2月のポイント】
2月のTVLは前月から26.2億ドル上昇して498.6億ドルとなりましたが、過去の水準と比較して低い水準にあります。これは、米国債の利回りが主要なレンディングプロトコルでのステーブルコイン貸し出し金利を上回っていることが一因とされています。また、Frax FinanceがLSDに参入し、Canto DEXが出来高を伸ばしていました。ステーブルコインドミナンスは下落傾向で、Arbitrumの週間出来高が過去最高値を更新しました。
【3月のポイント】
3月のTVLは前月から減少し、497億ドルとなりました。シリコンバレーバンクの破綻の影響を受け、一時的にUSDCに対する不安から急落しましたが、その後水準に戻りました。Ethereumのプロトコルアップグレードが予定されており、LidoのstETHが5月頃に交換・償還が可能になる見込みです。DEXの出来高では、LEVEL Financeが急上昇していました。Layer2では、ArbitrumのTVLがエアドロップにより大きく上昇し、PancakeSwap V3のローンチが注目されました。
【2023 Q1のまとめ】
2023年第1四半期のDeFiマーケット動向の全体像は、新たな技術やサービスの導入によって市場が活性化された一方で、規制や市場環境の変化によって不確実性が続く市況となりました。
2023年第一四半期において、TVLは一部で上昇傾向にあるものの、規制などの外部環境によって左右されやすい状況が続きました。リキッドステーキングやLayer2の動向、Ethereumのプロトコルアップグレードなど、新たな機会が生まれている一方で、規制の影響や市場の変動性も考慮しなければならない状況でした。
また、悪い市況の中でも数値的にはDEXやDeFiプロトコルの収益性が向上していることから、投資家やユーザーの関心が高まっていることが伺えます。Layer2技術の進展やPancakeSwap V3のローンチなど、今後の展開が業界全体の成長を加速させる可能性があります。
また、悪い市況の中でも数値的にはDEXやDeFiプロトコルの収益性が向上していることから、投資家やユーザーの関心が高まっていることが伺えます。Layer2技術の進展やPancakeSwap V3のローンチなど、今後の展開が業界全体の成長を加速させる可能性があります。
2023 Q2に向けた展望
規制動向による影響
今後の展望において、暗号資産の規制動向が業界に大きな影響を与えることが予想されます。具体的な規制動向の例としては以下のようなものが挙げられます。
- 米国:米国証券取引委員会(SEC)が暗号資産の取引所やデジタルウォレット事業者に対して、より厳格な規制を導入する可能性があります。また、SECはICOやDeFiプロジェクトに対しても証券法に基づく規制を強化する動きが見られます。
- EU:欧州連合は、暗号資産のマーケットインフラ事業者やサービスプロバイダーに対して、統一された規制枠組みであるMiCA(Markets in Crypto-assets Regulation)を導入することを検討しています。これにより、暗号資産関連事業者は一定の要件を満たす必要が生じるでしょう。
- 中国:中国政府は暗号資産のマイニング活動を禁止するとともに、暗号資産取引やICOに対する規制を厳しくしています。今後も中国の規制当局は暗号資産市場に対する監視を強化することが予想されます。
これらは長期間をかけて形成される規制の枠組みですが、こういった規制動向があることを把握した上でどのような変化が発表されるのかに注目するのが望ましいでしょう。適切な規制が整備されることで、より安全で信頼性の高い市場が形成される可能性もあります。
2023年第1四半期は事業に大きな影響を与える規制が行われることはありませんでしたが、市場参加者(各プロジェクト)は今後の規制動向に注意を払いながら、適切な対応策を講じることが求められます。これらについては以下の関連レポートが参考となるでしょう。
関連レポート:グローバル規制の最新事情(2022年上半期版)
関連レポート:米国規制の最新事情(2022年後期)
2023年第1四半期は事業に大きな影響を与える規制が行われることはありませんでしたが、市場参加者(各プロジェクト)は今後の規制動向に注意を払いながら、適切な対応策を講じることが求められます。これらについては以下の関連レポートが参考となるでしょう。
関連レポート:グローバル規制の最新事情(2022年上半期版)
関連レポート:米国規制の最新事情(2022年後期)
技術動向による影響
4月13日にEthereumのアップグレードによりETHの引き出しが可能になりました。この影響でリキッドステーキングプロトコル間の競争が激化する可能性があります。各プロトコルは、より魅力的な利回りや安全性、使いやすさなどで差別化を図り、ユーザーを惹きつけることが重要となるでしょう。この競争を通じてより良いプロジェクト現れることを期待しています。
関連レポート:リキッドステーキングに起きるナラティブの予兆
なお、マルチチェーンでのユーザー体験へとより拡張されていく可能性もあります。その際は、Ethereumに限らず様々なチェーンにおける動向を整理していく必要があると考えています。
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総括
2023年Q1のDeFiマーケットを総括しました。Q2にあたっては規制動向、技術動向による影響を踏まえ、観測する事項を適正化させながらレポートとして提供してまいります。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。