ステーブルコインの市場動向、二極化する市場と規制に関する米国と日本のアプローチとは
2025年06月26日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 主要ステーブルコインの概要
- 全体の動向
- USDT、USDC
- Ethena (USDe)
- DAI、USDS
- ステーブルコインの市場動向と企業戦略
- ケーススタディ:CircleのIPOとその市場への影響
- TradFiの侵攻:PayPal、Stripe、Fiserv
- 米国、日本の規制状況と展望
- 米国:GENIUS法案と連邦レベルでの明確化への道
- 日本:「電子決済手段」への構造化されたアプローチ
- 総括
ステーブルコイン市場は、かつて暗号資産取引のニッチなツールでしたが、今や数千億ドル規模の資産クラスへと成長し、主流の金融システムへの統合の瀬戸際にあります。
2025年は、この市場にとって極めて重要な年として位置づけられます。今年は、3つの主要な流れが集約される年となります。すなわち、主要なステーブルコイン資産の成熟、伝統的金融(TradFi)プレイヤーの積極的な参入、そして主要経済国における規制の枠組みの具体化です。
本レポートは、暗号資産投資家がこの複雑で急速に進化する市場をナビゲートするための包括的な情報を提供することを目的にしています。
まず、時価総額上位のステーブルコインを俯瞰し、そのメカニズム、ユーティリティ、内在するリスクについてフォーカスします。次に、Circle社の新規株式公開(IPO)やPayPal、Fiservといった巨大企業の戦略的動向が市場全体に与える影響をマクロレベルで考察し、最後に最後に、米国と日本で具体化しつつある規制の枠組みを詳細に分析し、将来の市場環境を展望します。
主要ステーブルコインの概要
このセクションでは、時価総額で市場をリードするステーブルコインを解剖し、そのメカニズム、ユーティリティ、そして投資家が認識すべき固有のリスクについて、証拠に基づいた詳細な分析を提供します。
これらの資産は、それぞれ異なる設計思想とリスク・リワード特性を持っており、それらを理解することが市場動向を理解する基礎となります。
全体の動向
この表は、各ステーブルコインの基本的な特性を一覧で示すものです。発行者の形態(中央集権的企業か分散型自律組織か)とペグメカニズム(準備資産の種類と安定性維持の方法)が、各資産の根本的な違いを理解することができます。
これにより、中央集権的なカウンターパーティリスクと、スマートコントラクトや市場メカニズムに内在するリスクとの間のトレードオフが明確にすることが可能です。
DeFiLlamaによれば、ステーブルコインの時価総額は2,510億ドルを超えています。2025年からは傾きが急となり発行量が増加しています。
以下の図は、ステーブルコインの時価総額に占める各ステーブルコインの割合を示しています。USDTは長らく市場の約60%を占めていますが、2025年に入ってからはUSDCの割合が増加しおよそ25%を占めるまで成長しています。
これは後述する、市場や規制の動向を反映しているものと見られます。
以下の図は、ステーブルコインの時価総額に占める各ステーブルコインの割合を示しています。USDTは長らく市場の約60%を占めていますが、2025年に入ってからはUSDCの割合が増加しおよそ25%を占めるまで成長しています。
これは後述する、市場や規制の動向を反映しているものと見られます。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。