米国規制の最新事情(2022年後期)
2022年12月27日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- ホワイトハウス:本格的な規制強化に舵を切る
- 規制当局:既存の権限に基づき規制強化を進める
- 議会:規制の法制化に向け議論が活発化
- 証券vs商品を巡る議論:CFTC寄りの法案が優勢だったが、見直し論が浮上
- 総括
- 出所・補足
前提
FTXの破綻後、米国では政府や規制当局関係者から相次いで声明が発表されています。監視のみに留まらず、暗号資産規制の法制化の必要性が益々強調されるなど、規制強化の議論が改めて高まっています。
米国政府の暗号資産に対する関心度は高く、2022年3月、バイデン政権は大統領令を発動し、暗号資産規制に関する報告書の作成を各関係当局に要請しました。同年9月半ば過ぎ、各当局から報告を受けたホワイトハウスは、規制の整備に向け本格的に取り組む方針を示しています。
一方、財務省、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)、銀行監督機関など規制監督当局は、既存の権限に基づき執行措置を進めています。議会では規制の法制化に向け、議論の叩き台となる法案が続々と提出されています。
本レポートは、米国における暗号資産規制の整備に向けた状況を把握するため、1)ホワイトハウスの取り組み、2)規制当局による執行措置の状況、3)規制法案のポイント、4)暗号資産の分類を巡る議論について解説します。
[Executive Summary]
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ホワイトハウス:本格的な規制強化へ舵を切る。暗号資産に対する初の声明文を発表し、違法行為の防止など規制強化への道筋を示す。FTX事件を受けて懸念を表明、米国内および国際社会を視野に、規制の整備を重要課題に掲げる。
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規制当局:既存の権限に基づき規制強化を進める。SECとCFTCは執行措置にて規制強化を進め、今後も継続する方針を示している。市場に大きな影響を及ぼし得る訴訟も含まれる。ステーブルコイン規制など法制化を議会へ要請。
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議会:法制化に向けて議論が活発化。議会への法案提出数は急増。法案の主なポイントは、暗号資産の所轄当局の決定、ステーブルコイン規制、DeFiを規制対象に含めるかなど。
- 証券vs商品を巡る議論:CFTC寄りの法案が優勢だったが見直し論が浮上。FTX破綻前は、業界の積極的なロビー活動もあり、CFTCへ多くの権限を委譲した法案が優勢。しかしFTX破綻は業界プレゼンスを後退させ、業界の法案への影響力は衰える可能性が高い。SECへの権限付与の検討も含め、法案を大幅に見直す議論が出始めている。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。