米国CLARITY(クラリティ)法案の攻防:「何をルールにするか」で割れる業界と議会

2026年01月27日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 法案の骨格:SEC/CFTCの役割分担を法定しようとする枠組み
    • 主要な規定
  • なぜ停滞しているのか:3つの争点
    • 争点①:銀行業界 vs 暗号資産業界(ステーブルコイン利回り問題)
    • 争点②:上院銀行委員会と農業委員会の並走
    • 争点③:民主党側から提出された政治倫理修正案
  • 成立までに残されたプロセス
    • 現在までと今後の主なタイムライン
  • 業界内部の亀裂:Coinbaseとa16z
  • 規制当局の視点
  • 投資家保護の観点からの批判
  • 結論:「何をルールにするか」で割れる業界と議会
  • 参考資料
2026米国で審議中の「Digital Asset Market Clarity Act of 2025」、いわゆるCLARITY Act(クラリティ法案)が、上院での採決を前に停滞しています。銀行業界と暗号資産業界の利害対立、上院内の委員会間の調整、そして政治倫理を巡る修正案など、複数の争点が絡み合い法案の行方は不透明です。

予測市場Polymarketの「2026年にCLARITY法案が成立」に対するオッズは54% (2026/01/27時点)
CLARITY Act(H.R.3633)は2025年7月17日に下院を294–134で可決しています。上院では銀行委員会側の代替案と、農業委員会側の別法案(DCIA)が並走する形で制度設計が詰められています。しかし、当初予定されていた上院銀行委員会でのマークアップ(委員会での法案審議・修正・採決)は延期されており、委員会側は超党派交渉の継続を理由に挙げています。報道では、Coinbaseによる支持撤回も不透明感を強めた要因の一つとされています。
本レポートでは、この法案が停滞している構造的な理由と、成立に向けて残された論点を整理します。

本レポートで扱う法案

本レポートでは、便宜上以下の3つを「CLARITY Act(クラリティ法案)」として扱います。
  1. H.R.3633(Digital Asset Market Clarity Act of 2025 / 通称 CLARITY Act):2025年7月17日 下院可決(294–134)
  2. 上院銀行委員会の代替案(H.R.3633に対するマネジャーズ・アメンドメント):2026年1月13日公表、マークアップ延期中
  3. 上院農業委員会のDigital Commodity Intermediaries Act(DCIA):2026年1月21日更新版公表、1月29日マークアップ予定



法案の骨格:SEC/CFTCの役割分担を法定しようとする枠組み

CLARITY Actの核心は、デジタル資産を「証券」と「デジタル商品」に分類し、規制当局の管轄を明確化することです。


※ 上記は理解の便宜上の二分法であり、条文上は digital commodity / network token / ancillary asset 等の定義に基づきます。
この枠組みにより、従来のSECによる「エンフォースメント(執行)による規制」から、事前に明確なルールを定める体制への転換を図ります。

主要な規定

  1. 取引所・ブローカーの登録制度 — 顧客資産の分別管理、利益相反防止、開示義務を法定化
  2. トークン発行の開示制度 — 従来の証券登録に代わるカスタマイズされた開示要件
  3. DeFi開発者への配慮 — 一定の非支配的な開発者やインフラ提供者について、ソフトウェア開発・公開や自己保管支援等の行為のみを理由に、資金移動業等(money transmitter)として扱うことや同種の登録義務を課すことを抑制する設計
  4. 不正金融対策の強化 — デジタル商品取引所・ブローカー・ディーラー等に対し、BSA(AML/CFT)や制裁対応を含む枠組みを適用

なぜ停滞しているのか:3つの争点

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