ブロックチェーンブリッジの仕組みや類型の解説 種類ごとのメリットやリスクを学ぶ
2021年10月05日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 一般的なブリッジの動作
- コンソーシアム・POA・PoS型
- ライトクライアント型
- MPC型
- 流動性型ブリッジ
- 将来的に出来るであろう他の種類のブリッジ
- 総論
前提
本レポートでは、ブロックチェーンブリッジの仕組みや類型の解説して、種類ごとのメリットやリスクを学びます。最近では数多くの独自ブロックチェーンやレイヤー2が登場しており、その数は今後ますます増えることが予想されます。最近存在感を示しているのは例えば以下のようなプラットフォームです。
- 独自ブロックチェーン(Solana・Binance Smart Chain・Avalanche・Fantomなど)
- サイドチェーン(Polygon・xDAIなど)
- レイヤー2(Optimism・Arbitrumなど)
現在では、これら様々なプラットフォームで別々にアプリケーションが開発される傾向が強まっています。その際の問題として、例えばあるレイヤー2上のアセットを他のレイヤー 2や独自ブロックチェーンに移動をさせることが手間あるいは時間・費用的なコストがかかってしまう問題があります。いくつかのケースでユーザーフローを見てみましょう。
・独自ブロックチェーン同士の移動
ここではSolanaからBinance Smart Chainの移動のケースを見てみましょう。Solana上の資産をSolanaのトークン規格SLPからBinance Smart Chainのトークン規格であるBEP-20に変換する必要があります。
- Solana上の資産をSolanaのトークン規格SLP建てで入金出来る取引所(多くの場合FTX)に送金する。(この場合、取引所のアカウントがなければ登録が必要である)
- FTXに一度SLP建てで入金をした場合、標準規格(BitcoinやEthereumなどの本来のネットワーク)で出金が可能なので、今度はBinanceに送金する。(同じく、取引所のアカウントがなければ登録が必要である)
- BinanceからBinance Smart Chainのトークン規格であるBEP-20で出金をする
・レイヤー2間の移動
レイヤー2(Ethereum上のレイヤー2であるArbitrumと仮定する)→レイヤー2(同じくEthereum上のレイヤー2であるOptimismと仮定する)の移動は大きな手間とコストを伴います。Arbitrum上のユーザーがOptimism上のDeFiプロトコルに接続して取引した場合の例を見てみましょう。
- Arbitrum上の資産をEthereumのレイヤー1に戻すトランザクションをする。
- gas手数料を支払いEXIT期間(7日間)を待つ
- Optimism上に資産をデポジットする。この際もレイヤー1のgas手数料を支払う
いずれのケースでもある程度の手間がかかることが理解できるかと思います。一般的にブロックチェーンのブリッジに期待される役割とは、この手間を解消してプラットフォーム間のアセット移動ができ、かつ出来るだけ第三者への信用を必要とせずしてそれを実現することです。
このようなブリッジは現在様々な種類が開発、実稼働され始めています。また、その形式や仕組みにはいくつか種類も生まれています。一方で結論から言えば、完全にリスクフリーでメリットのみ、第三者への信用を必要としない形式のブロックチェーンブリッジは執筆時点で存在しません。
今回はそれら様々なブリッジを概観します。
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