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SushiSwapの概況(2021年3月時点) 独自の機能やUniswapと比較した競争戦略

2021年03月12日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • SushiSwapの2020年9月から2021年3月の概況要約
  • 数字で見るSushiSwap(2021年3月)
    • TVL
    • 取引ボリューム
    • 独自トークンSUSHIの価格
  • SushiSwapの独自の機能
    • リッチなインターフェース
    • Onsen(Menu of the Week)
    • BentoBox
  • 今後、開発が検討されているトピック
  • SushiSwapとUniswapの違いの考察
  • 総論

前提

本レポートでは、分散型取引所SushiSwapの2021年3月時点の概況を解説します。
SushiSwapは2020年8月にローンチしたプロジェクトです。Ethereum上で取引高首位の分散型取引所Uniswapのコードをコピーする形でローンチし、さらに独自トークンSUSHIを報酬にUniswapの流動性を吸い取るスマートコントラクトを公開し、大きな議論を呼びました。
SushiSwapはローンチ当初、コピー元のUniswapと比較してトークンエコノミクスなどに改良が加えられていたもののただのコピープロジェクトの一つに過ぎないと思われていました。しかしプロジェクト公開から約半年が経ち、Ethereum上の分散型取引所のなかでSushiSwapの取引高は常に上位に位置しており、かつUniswapには存在しない様々な独自機能が追加開発されています。
HashHub Researchは2020年9月に以下のSushiSwap基本概要レポートを公開しました。当時から基本は変化していないものの、成長速度が早いため追加された機能は当時とは大きく異なるものになっています。
本レポートでは、SushiSwapの2021年3月時点の概況を解説し、加えてどのような独自の機能を開発しているかを網羅し、Uniswapと比較した競争戦略についても取り上げます。

SushiSwapの2020年9月から2021年3月の概況要約

SushiSwapは匿名の開発者 Chef Nomi氏によって開発され、2020年8月にローンチしました。
Uniswapのコードをコピーする形でローンチし、Uniswapの流動性を吸収するスマートコントラクトを開発し、高いトークン報酬を付与してユーザー資金を引き寄せました。この際の対象プールはSUSHI/ETH、USDC/ETH、USDT/ETHでした。これは流動性の吸収攻撃という意味を込めて「ヴァンパイアアタック」などと呼ばれています。
このようなローンチ方法を行ったことで多くの批判の声も上がりましたが、結局は多額の資金がSushiSwapのスマートコントラクトに引き寄せられました。しかし、9月前半に創業者であり開発者のChef Nomi氏は、開発者ファンドにあるSUSHIトークンをスマートコントラクトにロックアップするコミュニティの要求を拒否して、開発者ファンドに預託するはずだったSUSHIトークンをすべて売却しました。この時点で創業者でありコア開発者であったChef Nomi氏はSushiSwapの開発をストップしています(後にChef Nomi氏は資金を返還しました)。
しかし創業者が去ったあともSushiSwapは終わることなく、むしろ創業者が去ったことによりコミュニティドリブンでアップデートするプロジェクトとして再起することになります。
Chef Nomi氏が管理していたスマートコントラクトの開発者権限は、他の匿名の開発者や、著名暗号資産取引所FTXのCEOなどが引き継ぐことになりました。SushiSwapのAdmin KeyはDecision-Makersと呼ばれる9人のメンバーがマルチシグで管理をしています。このメンバーはChef Nomi氏がSushiSwapの開発をやめた際にコミュニティで選出されました。
執筆時点においてマルチシグのメンバーは以下の通りです。
  1. SBF_Alameda
  2. rleshner
  3. 0xMaki
  4. lawmaster
  5. cmsholdings
  6. mattysino
  7. mickhagen
  8. JiroOno
  9. zippoxer
上記のメンバーによる署名プロセスを経ることでスマートコントラクトのアップデートができます。
独自トークンSUSHIはブロックごとに100 SUSHIが新たに生成されて、主に流動性提供者への報酬になりますが、そのうちの10%は開発者ファンドであるスマートコントラクトに割り当てられます。この資金をコミュニティで活用する形でSushiSwapは開発者を雇用して、機能をアップデートさせてきました。ガバナンストークンSUSHIの保持者がフォーラムで議論された提案を承認したり、開発者の雇用などのアジェンダや報酬料に対して資金の拠出の可否を決めます。
このようにしてコミュニティで開発されたSushiSwap独自の付帯機能として、レンディング機能のBentoBox、流動性報酬のガバナンスモデルOnsen、リッチなユーザーインターフェースなどがあります。いずれも、コピー元のUniswapと差別化するために様々な開発が行われていると言えます。これらの機能については別節で後述します。
また、Yearnとの連携やFTXコミュニティとの連携など他のプロジェクトともパートナーシップを組む動きも見せています。
さらに、2021年3月には米国最大の取引所CoinbaseにSUSHIが上場、DeFiに投資をするファンドFuture Fundがsushi.comのドメインを買ってSushiSwapのホストに割り当てるなどの動きがあり、SushiSwapに懐疑的だった層からも急速に認められつつある状況と言えます。
以上が2020年9月から2021年3月にかけてのSushiSwapの概況です。Uniswapをコピーして生まれたSushiSwapはコミュニティドリブンで様々な機能をアップデートして独自の成長を遂げていると言えます。
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