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CEXのDeFi戦略を読み解く:Coinbase・Binance・Bybitの三者三様モデル比較

2025年06月17日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

1. 前提:CEXによるDeFi領域への戦略的シフト

かつて相反する存在と見なされていた中央集権型取引所(CEX)と分散型金融(DeFi)。いま、その垣根が静かに、しかし確実に取り払われつつあります。Coinbase、Binance、Bybitといった主要CEXは、それぞれの強みを活かしながらDeFi領域への戦略的シフトを進め、新たなエコシステムの構築に乗り出しています。
その背景には、ロングテール資産の台頭や高性能DEXの登場、そして“インターネット資本市場”という新たな潮流があります。本稿では、こうした変化を捉えながら、3社のアプローチを構造的に比較し、今後の暗号資産市場における「CEXとDeFiの接点」が持つ意味を掘り下げます。

1.1. CEXがDeFiに参入する背景

CEXをDeFi領域へと向かわせている主な市場要因は、以下の3点に集約されます。
  • ロングテール資産の価格発見機能の変化:ミームコインに代表される新規・ニッチな暗号資産(ロングテール資産)は、その多くがまず分散型取引所(DEX)で取引が開始されます。これにより、新しい資産の価格発見の場が、従来のCEXからオンチェーンへと移行しました。CEXは、この巨大なユーザー需要と取引量を無視できなくなっています。
  • 高性能DEXとの競合:Hyperliquidのような、CEXに匹敵する取引体験と流動性を提供する高性能なDEXが登場し、CEXの中核事業であるデリバティブ取引などで市場シェアを奪い始めています。この競争圧力が、CEXにイノベーションを強いています。(参考:Hyperliquid関連レポート一覧
  • インターネット資本市場の台頭:アイデアやプロジェクトをトークン化し、グローバルかつパーミッションレス(無許可型)なオンチェーン市場で直接資金調達を行う「インターネット資本市場」という概念が現実味を帯びています。CEXは、この新たな資本市場へのゲートウェイとしての役割を模索する必要に迫られています。

1.2. 本稿の目的と構成

本稿では、Coinbase、Binance、Bybitの3社が、それぞれの強みを活かしてDeFi領域にどのようにアプローチしているかを分析します。各社の戦略を、①Coinbase:コンプライアンス重視モデル②Binance:マス市場向けディスカバリーモデル③Bybit:パフォーマンス追求型ハイブリッドモデルという3つの類型に分類し、その具体的なソリューション、技術的特徴、ターゲット顧客、そして内在するリスクを客観的に解説・比較します。
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