RWAエコシステムマーケットレポート【2025年8月】
2025年08月09日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- Executive Summary
- RWAの市場動向【2025年8月】
- プライベートクレジット市場
- 米国債トークン市場
- コモディティトークン市場
- ネットワーク別市場
- 個別資産の概要
- 主要プレイヤーの動向
- Securitize
- Ondo Finance
- Franklin Templeton (Benji Investments)
- WisdomTree
- Figure
- 総括
本レポートでは、執筆時点におけるRWA(Real World Assets)市場動向を概観し、主要プレイヤーの取組の概要を含む、最新情報をアップデートすることを目的にしています。
Executive Summary
- オンチェーンRWA(ステーブルコイン除く)TVL:2025年8月は約254.6億ドルで、2月の170億ドルから+50%、2023年末の84億ドルから+203%と急成長を継続。
- 全体時価総額(ステーブルコイン含む):約2,834億ドル。内訳はプライベートクレジット約154億ドル(60%)、米国債約67億ドル(26%)、その他コモディティ等約34億ドル(14%)。
- 資産クラスの二極化深化:プライベートクレジットと米国債がTVLの86%を占め、22年後半以降、プライベートクレジット優位が加速。
- ネットワーク分散の進展:zkSync EraとAptosが30日でそれぞれ+7%/+34%、Ethereumは▲8%とL2・新興L1がシェアを奪取中。
- コモディティ市場の二強構造:PAXG(52%)とXAUT(45%)が集中。取引量は▲25%、一方で保有者や時価総額は堅調増加。
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主要プレイヤー動向
- Securitize:規制対応インフラのワンストップ提供でBlackRock等と連携強化。
- Ondo Finance:マルチチェーン×機関投資家向けステーブルコインで市場拡大。
- Franklin Templeton:特許申請中の秒次利回り「Intraday Yield」で差別化。
- WisdomTree:非流動的農地など新規オルタナティブ資産のトークン化に注力。
- Figure:HELOC中心のプライベートクレジットで市場7割を占有、IPO準備中。
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RWAの市場動向【2025年8月】
オンチェーンRWA(ステーブルコイン除く)の時価総額は2025年8月現在で約254.6億ドルとなっています。2025年2月時点の約170億ドルから約50%の上昇、さらに2023年末の約84億ドルからは約203%の増加と、依然として急速な拡大を続けています。
rwa.xyzより|ステーブルコインを除くオンチェーンRWAの時価総額の推移
ステーブルコインを含めたRWA全体の時価総額は約2,834億ドルに達します。うちプライベートクレジットが約154億ドル(全体の約60%)、米国財務省証券が約67億ドル(約26%)、残り約34億ドル(約14%)をコモディティ、社債、株式、非米国債などのその他資産カテゴリーが占めています。
rwa.xyzより|資産別金額割合
ステーブルコインを含めたRWA全体の時価総額は約2,834億ドルに達します。うちプライベートクレジットが約154億ドル(全体の約60%)、米国財務省証券が約67億ドル(約26%)、残り約34億ドル(約14%)をコモディティ、社債、株式、非米国債などのその他資産カテゴリーが占めています。
ポイント
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残高は微増、ユーザーは急増
- TVL は 1 か月で +1.8 % と緩やかだが、保有アカウント数は +20 % と急拡大。
- トークン化資産への「裾野拡大」フェーズに入りつつあり、1 ユーザー当たり平均保有額が減少している可能性。
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資産クラス構成(面グラフ+円グラフ)
- Private Credit (青) が $15.4 B(全体の約 60 %)で圧倒的。
- 次点は U.S. Treasury Debt $6.7 B(約 26 %)。
- コモディティ・非米国債などはまだニッチ。
- 22 年後半から Private Credit の傾斜が加速し、24-25 年に掛けて「米国債+プライベートクレジット」の 2 極構造が鮮明。
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示唆
- リスクテイク姿勢の強まり:金利上昇環境が続く中で、国債より高い利回りを求めプライベートクレジットに資金流入。
- 発行体 259→複数年で拡大余地:ティア2・ティア3の資産クラス(不動産・非米国債など)が立ち上がると、指数関数的に TVL が伸びるポテンシャル。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。