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企業のビットコイン投資戦略入門|strategy Inc.の戦略・フライホイール効果・mNAV・BTCイールド.etcを理解する

2025年05月28日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
近年、企業が資産の一部として、インターネット上の通貨であるBTC(ビットコイン)を保有する動きが注目を集めています。これは、これまでの資産管理のあり方に新たな選択肢を加える可能性を持つ一方で、ビットコインの価格変動の大きさや、各国の規制やルールがまだ整っていないといった注意点もあります。
本稿はこのテーマの入門編として、なぜ企業がビットコインを持ち始めているのか、どのような企業が実際に取り組んでいるのかを紹介しながら、ビジネスリーダーや投資家が押さえておくべき機会とリスクについて、わかりやすく解説します。

I. 会社がビットコインを持つ時代 – 新しいお金の管理方法、その良い面と注意点

図1.企業のビットコイン保有戦略(出所:筆者作成)

◾️「ビットコイン財務を行う企業」とは? – 新しいお金の置き場所としての可能性と、考えておくこと

「ビットコイン財務を行う企業」とは、会社が保有する資産の一部を、計画的にビットコインで保有する企業のことを指します。こうした取り組みにはさまざまな理由があります。たとえば、現金の価値が目減りするのを防ぐため、為替変動に対応するため、インフレへの備えとして、あるいは長期的な企業価値の向上を目指すためなどです。また、企業によっては、顧客からビットコインで支払いを受ける中で、そのままビットコインを保有するようになったケースもあります。
こういう動きは、会社がデジタルなお金(ビットコインなど)をどう見て、どう使おうとしているのかという点で、今までのお金の持ち方とはちょっと違う新しい考え方です。これまでの会社のお金は、現金や、すぐに現金に換えられるもの、そしてあまりリスクの無い証券(株や債券など)で持っておくのが普通でした。ビットコインのように値段が変わりやすいものを会社のお金として持つというのは、どれくらいリスクを取れるか、将来どうなるか、といったことを考えての戦略的な判断と言えるでしょう。これは、ビットコインが長い目で見てお金の価値を保つかもしれない、とか、今までのお金とは違う値動きをするかもしれない、という期待があるのかもしれません。この新しいやり方は、リスクをどう管理するか、会社の成績をどう計算するか、そして投資家の人たちにどう説明するか、といった新しい課題も出てきます。
この分野で代表的な会社の一つが、早くからビットコインをお金の一部として持つ戦略をとってきた「Strategy Inc.」(前の名前はマイクロストラテジー社)です。この会社は、ビットコインを会社の主要なお金の置き場所にするとはっきり言っています。
そのやり方は、株を発行したり借金をしたりして集めたお金や、本業で稼いだお金を使ってビットコインを買い集め、デジタルなお金としてのビットコインの役割を広めようというものです。この会社の動きは、会社がビットコインを持つことの良い点と悪い点を考える上で、参考になる例と言えるでしょう。
※「Strategy Inc.」関連レポート:
企業によるビットコイン採用の広がりは、ビジネスパーソンがそのメカニズム、潜在的な機会、そして内在するリスクをバランス良く理解する必要性が高まっていることを示しています。ビットコインは過去に高い成長率を示した時期もありましたが、同時に価格変動が大きいという特性も持っています。
本稿は、ビットコイン財務モデルの複雑な金融戦略とその影響を念頭に置きつつ、Strategy Inc.を事例として、その戦略と財務の多面性を解き明かすことを目的としています。ビットコイン財務モデルの採用は、ビットコイン市場のダイナミクスや伝統的な金融システムに影響を与える可能性があります。これは、Strategy Inc.のような企業が試みるトレンドが、金融の進化の一側面となり得る一方で、新たな課題も提示することを示唆しています。

II. デジタル金庫にお金を集める:ビットコインを持つ会社はどうやってお金を集めて、何を考えるべきか

ビットコインを持つ会社、特にStrategy Inc.のように積極的にビットコインを買い集める戦略をとる会社は、その目標を達成するために色々な方法でお金を集めます。これには、市場の状況に合わせて少しずつ株を売る方法や、特別な種類の株(優先株式)、将来株に変わる可能性のある借金(転換社債)などがあり、それぞれに良い点と気をつけるべき点があります。
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