2025年上半期 暗号資産・ブロックチェーンM&A動向分析
2025年07月14日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
図1は、2025年上半期に観測された、暗号資産およびブロックチェーン分野におけるM&A案件を可視化したものです。ワードグラフ(買収実施数が多いほど大きく表示、文字色は主な買収先セクターを表す)では主要な買収主体を、積立グラフではセクター別の業界再編動向の推移をそれぞれ示しています。
この半年間で、M&A案件は合計57件に達しました。積み立てグラフからは特に、インフラ(Infra)、中央集権型金融(CeFi)、ツール(Tools)、そして分散型金融(DeFi)、NFTの各セクターで、業界再編が活発に進んでいることが見て取れます。一方のワードクラウドからは、暗号資産取引所のCoinbase、Solana基盤のDeFiプロトコルであるJupiter、インフラ関連のAlchemyなどの個別のプロジェクトが比較的多くの買収を手がけていたことがわかります。
本レポートでは、特に再編が活発だったInfra、CeFi、Tools、DeFi、NFTの5セクターにおける2025年上半期のM&A事例を分析し、その主な動向をまとめます。
※本レポートは、当該期間のM&A情報を完全に網羅しているわけではありません。あらかじめご了承ください。
インフラ(Infra)領域のM&A:ウォレットと開発基盤に注目
2025年上半期のインフラ領域M&Aでは、ウォレットと開発基盤の統合が目立ちました。6月にDawn WalletがWorldcoinエコシステムに、PrivyがStripeに、Web3AuthがConsenSysに統合された事例は、ユーザーオンボーディングの簡素化やセキュリティ強化を目的とした動きと見られます。StripeによるPrivy買収は、Web2大手のWeb3インフラ参入を示すものです。AlchemyはSolanaインフラのDexterLabを買収し、Ethereum以外のエコシステムへ事業を拡大しました。Alchemyは後述のNFT領域でもHeyMintを買収しており、多角的なインフラ強化を進めています。また、MoonPayはHelioを1.75億ドルで買収しており、eコマースでの暗号資産決済インフラ強化を図りました。なおMoonPayは後述のDeFi領域で企業向けステーブルコインソリューションを提供するIronの買収もこの上半期に実施しています。これらの統合は、インフラの使いやすさ、多機能性、安全性の向上に繋がると分析されます。
中央集権型金融(CeFi)領域のM&A:大手主導で進む市場再編
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