NFT価格はどのようにして決まるのか【後編】|オラクルを介して評価するアプローチ|BendDAO、Banksea NFTオラクル
2022年08月31日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- 2.オラクルを介してNFTを評価するアプローチ
- ①TWAP評価によるアプローチ
- ②機械学習(AI)を用いて評価するアプローチ
- TWAP評価によるアプローチの事例:Bend DAO|現状と課題を理解する
- BendDAOの概要|インスタントNFT担保ローン
- 余談:BendDAOで実際に起きた事件「入札してくれない問題」
- ②機械学習(AI)を用いて評価するアプローチ事例:Banksea|レアリティなども加味して客観的に評価
- Bankseaの概要
- 総括
前提
2022年8月現在見受けられるNFT価格設定方法は大きく以下二つのアプローチが存在します。
- 主観で評価するアプローチ
- オラクルで評価するアプローチ
以上はそれぞれ前回のレポートで指摘した①計測不可能な要素、②計測可能な要素に対応しています。
今回のレポートでは主に②計測可能な要素をもつNFTを評価する2.のアプローチを概説します。
- NFT関連事業者、NFT-Fiプロトコル関連事業者、不動産のようなユニークなRWAをプロトコルで評価することに関心を持つ方
※既存金融のバックエンドにDeFiを組み込むという文脈にはユニークなRWA(現実世界の資産)をオンチェーンで評価できるか、そのようなプロトコルは実現可能かという問いも含まれています。NFT-Fiは所謂NFTを評価するプロトコル群でもありますが、不動産のようなユニークなRWAをNFT-Fiプロトコルで評価するという期待も孕んでいます。NFTに限らずRWAとDeFiの接続に興味がある方も是非ご参考いただければと思います。
【NFT価格はどのようにして決まるのかシリーズ】
- NFT価格はどのようにして決まるのか【前編】|NFT-Fiの困難さを理解する
- NFT価格はどのようにして決まるのか【中編】|主観的に評価するアプローチ|Taker protocol、Abacus protocol
- NFT価格はどのようにして決まるのか【後編】|オラクルを介して評価するアプローチ|BendDAO、Banksea NFTオラクル
2.オラクルを介してNFTを評価するアプローチ
本レポートではオラクルを介してNFTを評価するアプローチ事例を紹介します。
そもそもオラクルとは何?という方は以下の関連レポートをご参考ください。
【関連レポート】:オラクルの基本、仕組み、リスクを理解する
①TWAP評価によるアプローチ
オラクル経由でNFTを評価する代表的な手法はTWAP(Time Weighted Average Price )評価です。ある一定期間の取引価格を時間加重平均法を用いて算出する手法であり、Uniswap v2やChainlinkなどで用いられています。より詳しく学びたい方は以下のレポートをご参考ください。
【関連レポート】:オラクルの利用時の工夫をUniswapとMakerDAOの例から学ぶ
NFT評価の文脈ではNFTレンディングプロトコルであるJPEG’dやDeFrag、DropDAO、Pine、BendDAOがTWAPでNFT(担保資産)を評価しています。JPEG’d、DeFragについては以下の関連レポートをご参考ください。
【関連レポート】
BendDAOは2022年8月に清算オークションが想定通りに機能しないのではないかと懸念されて話題にもなりましたからご存知の方も多いかと思います。この手法の課題を示す好事例でもありますから、事例①として後述し、余談として「入札されない」事件の全容を解説します。
②機械学習(AI)を用いて評価するアプローチ
OpenseaやTwitter、Etherscan等々の外部API経由で収集した情報をもとに機械学習させて価格を算出する方法です。
執筆時点での機械学習を用いた評価アプローチは主流の評価方法ではありませんが、計測可能な要素、計測不可能な要素の両方を加味してNFTを評価することができるようになるのであれば、新たな評価手法として着目される可能性はあるでしょう。
こちらも具体的な事例を交えて後述します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。