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JPEG’d|CDPをマージしたNFTレンディングプロトコルの概要

2022年03月01日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • JPEG’dプロトコルの概要
    • ステーブルコインPUSdはどのようにペグを維持するか
    • 担保資産の評価方法
  • $JPEG
  • パートナーシップ
  • 総括

前提

本レポートではNFTレンディングプロトコルJPEG’dを概説します。
アイドリングさせているNFTを何かしらの形で有効活用しようとする動き、特に金融商品として取り扱う事例をこれまでに幾度となく取り上げてきましたが、今回取り上げるJPEG’dもその例に漏れずアイドル状態のNFTの有効活用を志向したプロトコルです。
これまでに取り上げてきたプロジェクトは大きく以下3つのジャンルに分類することができます。
  1. NFTの細分化|コントラクトにロックしたNFTを細分化されたFTとして取り扱う。多くの場合、パブリックチェーン上のAMM DEXへ流動性を供給し、そのLPトークンをステーキングすることでインカムゲイン獲得を可能にする。
  2. NFTレンタル|NFTの貸し出しを可能にする。主に貸借料がインカムゲインとなる。
  3. NFTレンディング|大きくP2PとP2C(対コントラクト)に分けられます。今回紹介するJPEG’dや以前取り上げたDefrag.fiはP2Cです。こちらも主に貸借料がインカムゲインとなりますが、P2Cの場合は貸し付けたNFTを担保にステーブルコインなど別のアセットを借り入れて運用することも可能です。
【関連レポート】
NFTの細分化(FT化)
NFTレンタル
NFTレンディング
レンディングプロトコルにも幾つかの型がありますが、JPEG’dプロトコルを大雑把に形容するとNFT版MakerDAOのようなものだと言え、かつてのSAI鋳造のための債務ポジションをCDPと表したようにJPEG'dではNFDPs (non-fungible debt positions)という用語を用いています。NFT担保独自の細かな仕様上の違いはありますが、MakerDAOがETHやLPなどのデジタルアセットを担保にステーブルコインDAIを鋳造するように、JPEG’dはCryptoPunksのようなNFTを担保にステーブルコインPUSdを鋳造することができるプロトコルです。
【関連レポート】
MakerDAOとの大きな違いは清算システムにあり、MakerDAOがオークションによって清算処理をするのに対してJPEG’dの場合はDAOが行います。この点は価格変動が急激に変化するNFT故の措置であり、この他にも担保価値をTWAP(時間加重平均)で評価する、ウォッシュトレードを排除して評価するなどいくつか工夫がなされています。
なお執筆時点でのJPEG’dはテストネット(Kovan Network)で展開されており本番環境にはありません。
【Executive summary】
  • NFTを担保にステーブルコイン(PUSd)を借入できるP2Cレンディングプロトコル
  • 仕組みはMakerDAOに類似する。但しNFT特有の低流動性に対応するために清算周りの仕組みには違いがある。
  • 執筆時点ではテストネットではあるが、@Tetranodeによるサポートもあり、すでにOlympusやtokemak、Abracadabra moneyなど既存DeFiエコシステムやオプションプロトコルDopexとのパートナーシップを公式発表している。どのような協業になるかは公式からの発表を参照するほかないが、提携先を見る限りにおいてステーブルコインのデペグ対策、インセンティブ付与に関与すると推察される。
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