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1/1NFTの解体と再構築【前編】|フラクショナル・オーナーシップの変遷

2021年10月14日

目次

  • 前提
  • NFTにみるフラクショナル・オーナーシップモデル
  • NFTの共同所有が生む課題

前提

本レポートではNFTにおけるフラクショナル・オーナーシップの概要、及びその変遷(執筆時点)について概説します。
フラクショナル・オーナーシップ(Fractional Ownership)とはある財産の所有権を分割する、つまり複数の主体(無関係な当事者)が「あるモノ」を共同所有するという概念であり、それ自体は目新しい概念でもなく古くから存在する所有権モデルの一つのあり方です。
例えばタイムシェアという時間帯を分割してモノを共同所有するという概念は1960年代の欧州スキーリゾートでリゾート・タイムシェアの原型となるモデルを事業化したことに端を発するという定説があります。およそ半世紀も前に誕生したタイムシェア事業はコンドミニアムや戸建て別荘に適用させるだけでなく、今や大手ホテル企業なども採用するほど比較的一般的な事業モデルの一つになってきていると言えるのではないでしょうか。
このようなタイムシェア事業モデルはAirbnb等の出現によって、今日風にシェアリングエコノミーと表現することもできますが、より大雑把に表現すると「割り算による事業モデル」とも言えます。近年、この事業形態は適用される資産が投資対象の不動産やアート、コレクタブルへと拡張されることで、タイムシェアではなく同時間帯における対象資産の共同所有モデルをも生み出しています。投資不動産の部分所有の例としてはRoofstock、アートであればMasterworks、コレクタブルであればOtis等が挙げられるでしょう。
※実際にはこれらは対象物を部分的に所有しているわけではなく、対象物との「何かしらの関係性をもつ権利」と言えます。
このようなフラクショナル・オーナーシップの概念は富を細分化することによって富裕層から中流層へと裾野を徐々に広げて、新たな市場を開拓するものとして着目されますが、それはただ対象市場の顧客層を拡張するということを意味するだけでなく、対象資産の金融商品化を促すものでもあります。
この流れは早期から主要なブロックチェーンユースケースの一つとしても着目されているものであり、不動産やアート作品をセキュリティ・トークンへ適応させようとするケースは数年前から散見されます。
※本レポートでは触れませんが、NFTがフラクショナライズされるとそれはもはや「収集品ではなく有価証券である」と認識される可能性は十分にあります。
【フラクショナル・オーナーシップ関連レポート】
本レポートは【前編】【後編】の二部構成です。
【前編】ではNFTにおけるフラクショナル・オーナーシップ事例を概説し、主に「どのように共同所有するのか」という点について解説します。また最後に執筆時点で顕在化している「1/1NFT再構築」課題について解説します。
【後編】では「1/1NFT再構築」の課題に対する主要なソリューションと所有権モデルについて触れていきます。
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。