本レポートは、レストラン業界における顧客エンゲージメントとロイヤルティの新しい形を提案するプラットフォーム「Blackbird」のビジネスモデル、Web3技術の活用、業界への影響について情報を整理し、Blackbirdの全体像を理解することを目的としています。Blackbirdは、Eater（現在はVox傘下）およびResy（2019年にAmexが買収）の共同創業者であるBen Leventhal氏によって設立され、特に独立系レストランをターゲットに、ブロックチェーン技術やNFT（非代替性トークン）、独自トークンを活用して、レストランと顧客の直接的な繋がりを深めることを目指しています。

Blackbirdの中核的な価値提案は、単なるポイントプログラムを超え、顧客がレストランへの訪問を通じてデジタル資産（$FLYトークンとレストラン固有のNFTメンバーシップ）を獲得し、それによって限定的な特典やステータスを得られる点にあります。レストラン側にとっては、顧客のロイヤルティ向上、直接的なコミュニケーションチャネルの確立、顧客行動に関する豊富なデータの取得（顧客の同意に基づく）、そして将来的には店舗外での新たな収益機会の創出 が期待されます。Leventhal氏は、既存のテクノロジープラットフォーム（中間業者）がレストランの収益性を圧迫し、顧客データへのアクセスを制限している問題を指摘しており 、Blackbirdをレストランが顧客との直接的な関係を取り戻すための解決策として位置づけています。

Flypaper v3 (2025年1月) および最新動向について:Blackbirdは、2025年1月にFlypaper v3を通じて独自のLayer 3（L3）ネットワーク「Flynet」の導入発表をしました（2025年2月27日に稼働開始済み）。Flynetは、$FLYトークンの使用状況を記録する基盤となり、運用には新しいガストークン「$F2」が使用されます。$FLYトークンは供給上限が撤廃され、ネットワークの成長に応じて供給量が増加するモデルに移行し、$FLYと$F2のデュアルトークンエコシステムが確立されました。さらに、2025年4月にはシリーズBラウンドで5000万ドルを調達し、総調達額は8500万ドルに達しました。この資金は、新サービス「Blackbird Club」の立ち上げやFlynetの開発推進に充てられる予定です。

ただし、Blackbirdにはいくつかの課題も存在します。Web3技術への理解不足やウォレット管理のハードル、プラットフォーム利用料など、レストラン側の負担が懸念材料です。また、$FLYトークンの価値や供給量の増加、$F2トークンの配布メカニズムの複雑さも重要な課題です。本レポートでは、これらの要素を整理し、Blackbirdがレストラン業界にもたらす可能性と、その実現に向けた課題を明らかにします。

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