オラクルの基本、仕組み、リスクを理解する
2024年06月12日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- オラクルのたとえ話
- オラクルの種類と用途
- どうやってより正確なデータを入手するか
- 正確なデータが提供されないとどうなるか
- 総論
前提
本レポートでは、初心者の人でも分かりやすくオラクルとは何かという全体像を説明します。またなぜオラクルが重要なのか、オラクルの問題をついた攻撃例を初心者にも分かりやすく説明します。
オラクルは暗号資産を扱う上で重要な要素です。オラクルが影響した攻撃でDeFiプロジェクトが資金を失っているのを見た方も多いと思います。
オラクルのたとえ話
まずオラクルとは何でしょうか?これを説明する例として、現実世界での興味深い話があります。
2015年12月1日水曜日に、David Spargoという青年がオーストラリアのメルボルンで開催されるPeking Dukというバンドのコンサートに行きました。彼はバンドにとても感動しメンバーに会いたくなったのですが、彼と楽屋の間には2人の警備員が立っていてとても行けそうにありません。
そこで彼が何をしたかというと、バンドのWikipediaページを書き換えて家族だと言い張ったのです。警備員はWikipediaを確認し、彼を楽屋に通しました。
バンドのメンバーは知らない人が入ってきた事にとても驚きましたが、彼の突拍子もないアイデアに感動しビールをご馳走しました。この一部始終がFacebookページで紹介されています。
この話はバンドマンが寛大だったために笑い話で終わりました。しかし、もしバンドマンがDeFiのプロジェクトで、彼がハッカーで、Wikipediaが暗号資産の価格を示すオラクルだったとしたらどうなっていたでしょうか?数億円の被害になったかもしれません。とても簡単に言うと、オラクルを使ったDeFiプロジェクトの攻撃も似ている点があります。ここでは情報源としてのWikipediaがオラクルであり、その真偽が非常に重要です。
オラクルの種類と用途
オラクルを一言でいうと、「ネットワークの外にあるオフチェーンのデータを、ネットワーク上のオンチェーンに持ってくる仕組み」です。
このオラクルがないと色々なプロジェクトを動かすことができません。例えば分散型取引所のDODOはオラクルを使って外部から価格を取得しているため、オラクルがないと取引ができません。また色々なDeFiトークンを組み合わせた合成資産を作るSet Protocolも、トークンの価格をオラクルで外部から取得するためオラクルがないと合成資産を作れません。この詳細はこちらのレポートが詳しいです。
*関連レポート:DeFi(分散型金融)の価格オラクルの構造理解と攻撃ポイント
このオラクルですが、大きく分けてソフトウェアオラクルとハードウェアオラクルに分かれます。またソフトウェアオラクルは暗号資産の価格情報を提供する価格オラクルと、それ以外のオラクルに分けられます。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。