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NFT価格はどのようにして決まるのか【前編】|NFT-Fiの困難さを理解する

2022年08月25日

目次

  • 前提
  • NFT価格はどのようにして決まるのか
  • 計測不可能な要素|主観的な価値観で測る
  • 計算可能な要素|主観的評価の排除

前提

本レポートではNFT価格設定について概観していきます。
NFT価格はどのように決められるのか。本レポートのタイトルに冠したこの問いは「NFTを担保とした融資は可能か」という問いを前提にしています。
NFTは①非流動的(トレーディングプールの深さを十分に支えられるほどの流動性がない)、②レアリティと市場価格の関係が比較的曖昧、③イベントドリブンでの価格変動が激しい(イベントに応じた激しい上げ下げがある)、以上3つの目立つ特徴を有しています。FTと比較すると「正確な価格を把握しづらい」「清算が難しい」とも言い換えられ、一般的によりリスクの高いものとして認識され、NFTベースの金融派生商品を組成することは困難だと考えられています。

今回のレポートでは以上のような課題感を前提にして「NFT価格はどのように決められるのか」を深掘りしていきたいと思います。
なお本レポートは計3本のレポートに分割して公開します。1本目のレポートでは従来のNFT価格設定方法について触れながらNFT-Fiの困難さを理解していきます。次回以降にNFTの属性ごとに採用される価格設定アプローチをご紹介していきます。

【主な対象読者】
  • NFT関連事業者、NFT-Fiプロトコル関連事業者、不動産のようなユニークなRWAをプロトコルで評価することに関心を持つ方
    ※既存金融のバックエンドにDeFiを組み込むという文脈にはユニークなRWA(現実世界の資産)をオンチェーンで評価できるか、そのようなプロトコルは実現可能かという問いも含まれています。NFT-Fiは所謂NFTを評価するプロトコル群でもありますが、不動産のようなユニークなRWAをNFT-Fiプロトコルで評価するという期待も孕んでいます。NFTに限らずRWAとDeFiの接続に興味がある方も是非ご参考いただければと思います。


【NFT価格はどのようにして決まるのかシリーズ】

NFT価格はどのようにして決まるのか

従来のNFTはノンファンジブルという性質上「使用価値のあるもの(例:絵画のような鑑賞価値など)」という考え方が主流でしたが、流動性プールと価格設定関数を利用するNFT AMMはNFTをFTのように同類交換可能な資産に変えることで「交換価値のあるもの(例:貨幣など)」へとその性質を変える可能性があります。
ノンファンジブルな商品は疑似的に同類交換可能であるかのように扱い金融商品化した歴史上の事例もあり、NFTもその歴史をトレースするかのようにNFT-Fi(関連レポート)と呼ばれるジャンルを成長させています。この点については以下のレポート2本で考察を行いました。
【NFTの金融商品化に関するレポート】
NFTは金融商品化する可能性があると上記レポート内でも述べましたが、とはいえNFT価格は計測可能な要素(客観的評価)だけではなく、計測不可能な要素(主観的評価)の影響も色濃く受けますので、FTと同じようには捉えることはできません。

次節からはこの計測不可能な要素、計測可能な要素とは何かを理解するために、それぞれの要素を概説していきます。
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※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。