「DeFi2.0となりつつあるもの」特集
2021年10月15日
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- 「DeFi2.0となりつつあるもの」特集
「DeFi2.0となりつつあるもの」特集
DeFi2.0とは何か、執筆時点では明確な定義というものは存在しないと筆者は理解をしていますが、少なくともDeFiにおけるパイオニア(例:Maker、Uniswap、Compoundなど)を代替する新しいプロジェクト群(例:Olympus、Abracadabra、Alchemixなど)をDeFi2.0と呼称する傾向にあります。
この「DeFi2.0となりつつあるもの」が代替するものはさまざまありますが、その代表的な提案として「Liquidity mining/流動性マイニングの代替」が挙げられます。
なぜ従来型の流動性マイニングを代替する必要があるのか、この点に関する課題は「報酬に惹きつけられた利用者(流動性プロバイダー)から借用した流動性に過度に依存するため、より魅力的な報酬を提示するプロジェクトが現れると流動性を奪われてしまう懸念がある」に起因しています。
より端的に言えば「ユーザーから借りた流動性に過度に依存するため、市場の制御が困難になる(プロダクトに粘着性がない)」ということです。
この課題に対するソリューションはこれまでにいくつも考案されており、最近であればPodFinanceのように流動性プロバイダーに対して「ERC-20による報酬ではなくNFTを提供するようなモデル」やOlympusのようにユーザーではなく「プロトコルが流動性の大部分を所有するモデル」というものが現れてきています。
特に後者のOlympusが採用するモデルはDeFi2.0の主流モデルと目される風潮もあり、昨今注目を集めています。
このOlympusの仕組みで注目されるポイントは大きく以下2点です。
- PCV(Protocol Controlled Value)の採用
- 割引価格で販売する債券(bond)とその売り圧力を相殺するステーキング機能
1.のPCVとはプロトコルによる価格制御という意味であり、ステーブルコインプロジェクトFeiが価格安定化を目的に採用していた手法です。
大雑把に言えば資本提供者(流動性プロバイダー/ユーザー)の振る舞いに大きく左右されないように、プロトコルが流動性の大部分を保持して市場価格制御力を高める仕組みです。
上画像はOlympusのダッシュボード画面から引用したものですが、執筆時点でOlympusプロトコルがOHM-DAIペア取引市場の流動性の99.85%を所有していることを示しており、事実OHM-DAIの流動性のほとんどがユーザー(流動性プロバイダー)ではなくプロトコルの制御下にあります。
この仕組みにより資本提供者(流動性プロバイダー)による流動性提供の解除の連鎖による急激な「流動性供給不足」と「価格不安定化」を引き起こすリスクを抑えています。このPCVの仕組みが「プロジェクトの安定した成長」を支える基盤のように働き、もう一方の2の仕組みによる成長期待の両輪がシンプルなOlympusの仕組みと言えます。ただし、当然ながら取引市場や外部連携先の影響も受けますし、あくまでも実験的な取り組みであることには注意が必要です。
より詳しくDeFi2.0と目されるものへの理解を深めたい方は以下のPCVとOlympusに関連するレポート計2本をご参考ください。
※今回紹介するFei、Olympusともに執筆時点から新たな展開を見せています。Feiは新たにFei v2の導入を発表しています。OlympusはOlympus pro(OlympusのPCVの仕組みを他プロトコルに提供するプラットフォーム)の導入、そしてOlympus v2構想を発表しています。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。