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既存金融機関はDeFiをいかに統合できるか その可能性や懸念や実装ケースを考える

2020年08月15日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • IBMは銀行の分散型金融(DeFi)参入をサポートすると表明
  • 既存金融機関と比較した時のDeFiの凄さ
    • 金融サービスを提供するにおいて、サービスの構成事業者がどれだけ増えてもフリクションが軽微である
    • スマートコントラクトによるプロセスの自動執行が約束されている
    • パーミションレスでグローバルな点
  • 既存金融機関がDeFiを実装する際のハードルや懸念点
    • ・受け取り金利とgasコストなどが変動すること
    • ・プライバシー要件
    • ・スマートコントラクトの脆弱性の可能性
    • ・暗号資産ではないSecurity Tokenなどの統合のハードル
    • ・規制
  • 既存金融機関がDeFiを統合する場合の実装ケースを考える
  • 総論

前提

本レポートでは、既存の金融機関がいかにDeFi(分散型金融)を取り入れ、顧客にサービスを提供できるかを検討します。DeFi(分散型金融)は、Ethereum上で急速に発展する金融アプリケーション郡であり、アセットの交換、ステーブルコイン、レンディング、レバレッジ取引など様々な金融取引がスマートコントラクトで実装されている事例があります。
DeFiは、さまざまなオープンソースの金融プロトコルを組み合わせて、金融サービスを構築できることが特徴です。例えばMakerDAOのプロトコルで発行したステーブルコインのDAIを、KyberNetworkのプロトコルを利用して他のトークンとスワップができたり、Compoundでレンディングが行えたり、一つ一つのプロトコルは単一機能でも、それぞれを組み合わせて金融取引を行えます。また、それぞれのスマートコントラクトはEthereumのパブリックブロックチェーン上で展開されているため、開発者は一切の提携関係などを持たずとも、CompoundやKyberNetworkなどあらゆるプロトコルを自由に組み合わせて、独自の金融サービスをユーザーに提供できます。また、金融取引はスマートコントラクトで実行され、特定の第三者に資金を預ける必要性もないため、コードの脆弱性の懸念さえなければ、聞き覚えがない会社が展開する金融サービスでもユーザーとしては比較的軽微なリスクで使用出来ることが特徴です。
こういった特徴は、様々な金融サービスを連続的に生み出すことに繋がり、イノベーションの交換速度が異常に早く、DeFiのエコシステムが指数関数的に成長することに繋がっています。現在、これらのサービス郡はEthereumの最も主要なユースケースとなっています。
関連レポート:今の時点で見えるDeFi(分散型金融)の実態と将来予想
関連レポート:使えるDeFiサービスとクリプト×カード決済サービスのまめ
2020年現在では暗号資産のヘビーユーザーのみでこういったDeFiが利用されているのが現状ですが、より社会的な金融システムの中に組み込まれる可能性も十分にあります。おもちゃと思われていたものが世界を変えるというような現象は、これまで繰り返されてきたことで、パーソナルコンピュータもWebもそれに当てはまります。そして、それはおもちゃなので、コンシューマ側から普及して、どこかの時点で世界を変え始めるというプロセスを辿ります。この法則がDeFiにも当てはまる可能性があります。
本稿では既存の金融機関がいかにDeFiを取り込めるかを検討します。本トピックと近しい内容は下記のレポートでも取り扱いますが、今回はまた異なる視点も取り入れてアップデートをします。
関連レポート:論考・Security Tokenが普及した後の金融体験を考える、DeFiは将来どのように企業活動や既存金融と結びつくのか

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