Ethereumの最新の開発動向やビジネスユースケースを網羅する【2020年版】
2020年07月16日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 目覚ましく発展するEthereumエコシステム
- Ethereum 2.0 - PoS移行などを含むEthereum史上最大のアップデート
- DeFi(分散型金融)- Ethereumのキラーアプリとして確固たるユースケースに
- レイヤー2 - 2020年からは明確に実用フェーズに
- 企業利用- 企業がEthereumを利用するケース
- 非金融の動向- ブロックチェーンゲームなど
- 暗号資産としてのETH - 投資家としてのETHは?
- 総論
目覚ましく発展するEthereumエコシステム
Ethereumのエコシステムとユースケースは目覚ましく発展しています。2020年時点でEthereumエコシステム全体で起きていることを網羅することを目的とします。実際にそれぞれの動向をより深く理解していただくにはこのページだけでは足りないですが、本ページ内でリンクしている様々なレポートと合わせてご利用頂くことでEthereumの全体像が掴めるはずです。
2015年にワールドコンピュータというコンセプトでローンチされたEthereumは、2020年現在、多くの開発者や企業によってユースケースが生まれています。Etheruemはスマートコントラクトを実行できるブロックチェーンであると説明されることに多くの人が馴染みがあるでしょう。
スマートコントラクトはプログラムを自動執行出来る仕組みと説明されることが多いです。また、その際に自動販売機の例がよく用いられます。100円のコインを機械に投入をすると、飲み物が自動的に差し出されるという事例です。これは、暗号学者であるニック・サボ(Nick Szabo)氏が2004年に示した例えが元ですが、この事例はやや分かりにくさがあります。何故なら、Ethereumもスマートコントラクトも使わずに、すでに自動販売機は成立しているからです。
つまりこの自動販売機の例では、Ethereumだから出来ること、スマートコントラクトだから出来ること、を説明しきれていません。なお、Ethereumの考案者であるヴィタリック氏はスマートコントラクトという呼称を使用したことを後悔していると発言しています。
スマートコントラクトという言葉ではなく「persistent scripts」などといったテクニカルの言葉を使うべきだったと発言しています。直訳をすると、「永続性のあるスクリプト言語」という意味です。
これだけでは、やや難しいですが、永続性と検証性がスマートコントラクトの特徴と言えます。例えば、ブロックチェーン上である債券を定義し、四半期に一度必ず利払いがなされるとプログラミングされているとします。この利払いされるというプログラミングは、Ethereum上のスマートコントラクトであれば、確かにプログラミングされているということを当事者以外にも検証可能であり、またそれは開発者も変更ができません。つまり、不正が出来ません。自動販売機の例ではこの要素はありません。しかし、スマートコントラクトにはこの検証性と不変性の要素があるからこそ、第三者が信頼してそのプログラミングのアプリケーションに関わることが出来、結果としてプログラムは自動執行(ここであげた債券の事例では利払いの自動執行)されるのです。これによって多くの人手を減らすことや新しいユーザー体験が実現します。
このようなスマートコントラクトを用いたアプリケーションはあらゆる業界で応用が出来るだろうと期待されています。Ethereumはそれらのプログラムを用いて開発が出来るプラットフォームです。
そしてEthereum自体の公開から5年が経った2020年現在、そのユースケースは現実になりつつあります。特に分散型金融(DeFi)と呼ばれる分野では目覚ましい金額の金融取引がスマートコントラクトを経由して行われています。技術面では、ブロックチェーンの可用性を拡張するレイヤー2や、大規模なアップデートであるEthereum2.0などの開発が進んでおり、増えるユースケース需要に対してインフラストラクチャーとしても日々進化しています。本ページではこれらを概観していきます。
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