ゼロ知識証明を活用したID・DeFi利用環境の変化と影響
2023年07月31日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- ID:Sismo、zkPassで匿名化される信頼
- DeFi:zkBob、tbDEXで信頼の発行者と検証者を切り離す
- 余談:信頼で定義される個人
- 総括
前提
本レポートではゼロ知識証明を活用したIDやDeFi利用環境の変化と影響を事例を踏まえて概説します。ゼロ知識証明が注目される理由として以下が挙げられます。
ID
- パブリックブロックチェーンでは特定のアドレスのトランザクション(取引の詳細)や資産の閲覧が可能で個人情報が紐づいてしまうと危険です
- ENSをツイッターなどに関連付けるとオンチェーン履歴と個人のオンラインアカウントが紐づいてしまいます
- オンチェーン決済の普及などでプライバシーが侵害される恐れがあります
パブリックでトランザクションが見えるからこそ新たな自己表現の手段となったり、プロジェクト間の相互作用など面白い取り組みが実現できますが、特に社会で実用的に扱われる際にはプライバシーの懸念が生まれる可能性があります。
DeFi
- 規制の影響でDEXでの匿名取引が難しい場合なんらかの検証が必要ですがパブリックチェーンのアドレスとKYC情報が紐づくと危険です
Gitcoin Passport(https://www.gitcoin.co/passport)はオンチェーンのアクティビティで人間性の証明・表現が可能ですが、匿名送金サービスなどコンプライアンスを重視するプロジェクトではKYCなど配慮の余地があると思います。
そこでゼロ知識証明を活用したアプリやサービスが注目されています。一部ではZKdapps(zero-knowledge apps)と呼ばれユーザーが自分の身元や共有される内容を明らかにすることなくサービス側に情報を提供します。これらのアプリはゼロ知識証明を活用して実行者の情報の安全性を確保します。
次項ではプロジェクトの事例からパブリックチェーンや既存社会の変化・影響をまとめます。加えて信頼が相互作用するWeb3と、信頼の相互作用は難しいがIDの強度が高いWeb2、またWeb2.5ではどのような信頼になるか図解して考察します。
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