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GW2023:注目のクリプトレポートガイド

この記事を簡単にまとめると(AI要約)
市況、L1s/L2s、DeFi、NFTs、DAO等々をテーマにGW2023中の学びにおすすめしたいレポートをHashhubリサーチチームでピックアップしました。

2023年GW休暇中の学びのお供としてご参考ください。

市況

In Gold We Trust-Report

欧州の投資会社のレポートです。
ドルからの離脱・分断の時代をふまえて、いかにゴールドが重要な資産になるかを説いています。実際に2022年から少なくない国の中央銀行では米国債の割合を減らして、ゴールドを準備金として増やす動きが顕著です。ゴールドに関する網羅的な当レポートは、デジタルゴールドと呼ばれるBitcoinの中期的な目線にも視座が得られることでしょう。
(文責:平野 淳也)

L1s / L2s

What is MEV-share?

MEV-Shareは、ウォレットやアプリなどのユーザーが作成した取引の価値(MEV)を彼ら自身が受け取るためのプロトコルです。これはオープンソースで、誰もが利用できる仕組みです。現在、MEVは主にビルダーやサーチャー、バリデーターが受け取っていますが、MEV-Shareを使うことで、ユーザーが取引の価値の一部をキックバック(還元)として受け取ることができます。これにより、ウォレットやアプリがMEVを獲得するチャンスが増えることになります。
(文責:Lawrence)

What is a zkEVM?

本記事では、zkEVMの動作方法、重要性、および存在する異なるタイプについて解説されています。zkEVMは、スマートコントラクトの正確性を検証するためにゼロ知識証明を生成する仮想マシンの一種です。これらは、トランザクション処理と状態保存をオフチェーンに移行することで、スループットを向上させるEthereumのレイヤー2スケーリングソリューションであるZKロールアップの一部ですが異なるタイプがあり複雑な機構となっています。それらの基礎理解におすすめの記事となっています。
(文責:Lawrence)

DeFi

The Ultimate Guide to Tokenomics

この記事では、DeFiやGamefiにおけるトークノミクスの包括的な概要を説明し、なぜそれが重要なのか、どのようにすればうまく設計されたトークノミクスが実現できるのかを解説しています。バイナンスのリサーチペーパーが提供する構造を活用し、他の一次資料や様々なトークノミクスの実践的なケーススタディを提示しています。全てに共通する完璧なトークノミクスが存在すると断言することは困難です。適切な需要と供給の間の利害の一致を確保するために、都度異なるトークノミクスを構築する必要があるからです。
(文責:Lawrence)

Stablecoin Supervisors

欧米の暗号資産規制の動向をコンパクトにまとめた記事です。EUの暗号資産市場規制(MiCA)は、ステーブルコインコインをE-Money Tokens(EMTs)とAsset-Referenced Tokens(ARTs)という2つのサブカテゴリーに分類しています、EMTsは、単一の通貨の価値を参照することでその価値を安定させることを目的としたトークンであり、USDC、USDT、EUROCなどが該当します。ARTsは、通貨、商品、暗号資産をバスケットのように扱う、単一の通貨に固定されていないステーブルコインが該当します。以上のような枠組みを整備し始めています。一方、米国ではステーブルコインに対する規制が未だ不明瞭なままであり、下院金融サービス委員会が、銀行とノンバンクを含む「決済用ステーブルコイン発行者」に対する規制を導入し、アルゴリズム型ステーブルコインを2年間禁止し、CBDCの潜在的影響に関する調査を要求しています。米国での規制は未だ進展しておらず、クリプト企業は海外進出をすることで不確実性に対応しようという動きをみせています。
(文責:Lawrence)

NFTs

The Interplay Between AI Abundance + Crypto Scarcity 

AI生成アートとNFT(希少性付与)に関する記事です。学習という名のインプットを与え続けることである意味(推論の結果としての)固有のアウトプットを量産し続けることができるAIを介したアート分野が社会に認識されつつある昨今、改めてオンチェーン履歴、NFTによる正統性を証明する機能が注目を浴びる日が来るのかもしれないな、と感じる今日この頃です。
以前、Music NFTの像 2022.0129|5.音源のDAO管理〜Holly+の事例〜というレポートの中で言及したHolly+は、オリジナルソース(インプット素材)の証明とそれを用いたAIによるコンテンツ生成、生成されたコンテンツの利益配分をオンチェーン履歴を活用して共創することを試みた初期の事例だったと言えますが、AI生成が盛んに叫ばれるようになってきた最近になって、改めてこのHolly+に類似したアイデア、つまりブラックボックス化したソースを識別可能にしようという動きが一部クリプト界隈で注目を集めました。
このようなAIとクリプトの相互作用を活かしたコンテンツ作りがこれからのクリエイティブにどう影響していくのか。それを進歩と呼ぶのかは分かりませんが、今後も両分野のシナジーを期待した試みは続けられるのではないでしょうか。
(文責:masao yanari)

Value Accrual Case Study: Yuga Labs 

Yuga Labsのトークンエコノミーに焦点を当て、その価値蓄積の仕組みを解説したレポートです。Yuga Labs経済圏の仕掛けを「理解する」だけであれば、日々の仕事の合間に飛ばし読みするだけで十分かと思いますが、一つの成功モデルとして「記憶する」価値はあるかと思いますので、GW中にその仕組みをいつでも引き出せるよう本記事をベースに熟読、深掘り、暗記してみるのも良いかと思います。
(文責:masao yanari)

Defensible NFT Bazaars: How NFT Marketplaces Capture Value

 スイッチングコストの低い(堅牢性を高めづらい)P2Pバザールに生きるNFTマーケットプレイスの防御力の高め方、バリューの獲得方法について触れた記事です。
(文責:masao yanari)

The NFT MEV Landscape 

FTとはまた異なる市場構造を持つNFTにもMEVの機会(つまり取引時に非効率性があるということ)は存在します。しかしながら、NFT市場におけるMEV研究はあまりなされていないのが現状であり、どのような機会があるのかはあまり知られてはいません。本記事は「NFT MEVランドスケープ」と銘打ってその概要、現状を記しています。
(文責:masao yanari)

ABCDE: After studying all EIPs, we summarized 9 future directions of NFTs 

現在公開されているEIPをもとにこれからのNFT規格の方向性を9つに分類して考察したレポートです。EIPベースの考察ですから、あくまでも可能性の話に過ぎませんが、技術的な可能性を知っていてユースケースを考えるのと、知らないで考えるのとでは導ける結果も異なるのではないかと思います。二匹目のドジョウを狙うことも重要ですし、成功者に準じて後釜を狙うことに必ずしも遅すぎるということはないかとは思いますが、一度成功を収めたからといって、再び同じようにうまくいくとも限らないのもまた事実。どちらにチャレンジするかは人それぞれですが、(少し先の未来で実現するかもしれない)NFTの可能性を見据えたユースケースを考えたい方には一読をおすすめしたい記事です。
(文責:masao yanari)

A new NFT launch strategy: The wave mint 

NFTの新たなミント(鋳造)戦略「Wave mint」を解説した記事です。
エアドロップ戦略、NFTのフリーミント戦略、ここ数年の界隈の目玉を強引に掻っ攫うマーケティング戦略を観察しながら、いつも思うことがあります。例え戦略がうまくいき、界隈の注目を集めて成功したようにみえても手法が目立ち過ぎていて、すぐに界隈に模倣され、あっという間に陳腐化してしまう。これは単に界隈を巻き込んで目立つブームを引き起こしただけであって、一時的な成果は認めることはできても、目立つがゆえにすぐに模倣されて類似品が溢れてしまい、中長期で利益を産み続けることが難しいという悲しい現実をも突きつけている。
目立つ戦略と優れた戦略は必ずしも同一ではないし、よりはっきり言えば、同じ利益が入るのであれば、より目立たない戦略で成し遂げる方が競合も生まれにくいし、目立たない分、長い間高い利益率を維持しやすい環境になるのだから、そちらの方がよほど優れた生存戦略のように思え、より無駄なアピールコストを必要としない、方向性に共感して保有しているわけではない利害関係者とのコミュニケーションコストをできるだけ発生させない効率的な運営手法になるのではないかと。
とは言え、全く目立たないと本当の顧客にも見つけてもらえない。だからこそ、対象者を絞ってターゲティングをするわけですが、今回紹介するThe wave mint戦略はそれを不必要に目立たない方法で実践する手法の一つとして期待されています。これが正解か?どうかはまだわかりません。そんなにうまくいく?というのが正直な意見ですが一つの実験的な目立たないマーケティング手法の一つとしては参考になるでしょう。
(文責:masao yanari)

DAOs

DAOs, DACs, and On-chain Org Design: A DAC Manifesto 

非営利なDAOよりも、営利を目的としたオンチェーン組織、Decentralized Autonomous Companies (DACs)の方が必要性が高いと主張する記事。公共財を謳うDAOを否定するものではありませんが、現実的な選択肢としてオンチェーン組織を検討している方々に一読をオススメします。
(文責:masao yanari)

DAOs are not corporation: Where decentralization in autonomous organizations matters. 

上の記事と併せて読んでいただきたい記事。営利を目的とするDAO形態、既存の企業統治方法に近しい中央集権的統治の必要性は度々事あるごとに求められてきました。そもそもDAOにおいてどのような種類の分散化が重要だとされてきたのか、そしてそれはなぜ必要だと考えられているのか、DAO形態を改めて問い直す際に読み直したい一本です。
(文責:masao yanari)

An attractor for sybil resistence 

どうすればエコシステムを1トークン1票(富裕層が力を持ちやすい)から、より民主的な1人1票へと移行させることができるのだろうか。この問いに対する著者の回答はシビル耐性を付与したattractorを作れば良い、というものです。※ 著者が指すattractorとは何かはこちらで解説されています。 インターネットコミュニティのガバナンスのあり方を探求されている方、デジタルIDに人間性を付与する方法を探求されている方には参考になる一本となるでしょう。 ※1 Human 1 Vote Money Legos 🔜 More Democratic DAOsをテーマに著者が語った動画もあります。同テーマに興味のある方はそちらも併せてご参考ください。
(文責:masao yanari)

A DevOps Interpretation of DAOs

DevOps(開発と運用)の観点からDAOを解説した記事。DAOを組織のインターフェースと定義し、組織機能と制御を数学的に純粋なモデルとして定義できることを説明しています。DAOの歴史的背景や、現在のユーティリティの解説、DAOの技術を使ったプログラマブルなステークホルダーのセグメンテーション、プログラマブルプロパティ、プログラマブル契約などの新機能についても紹介されています。
(文責:masao yanari)

Reads

7 Sanity Checks Before Designing a Token 

トークン設計に先立って行うべき7つの検証ポイントについて説明した記事です。トークンに関する決定的なテキストを作成するのは時期尚早ではあるが、少なくともtokens + economicsを意味するtokenomicsという言葉が非経済的な価値を省いた部分的な概念(少なくとも価値=お金ではない)しか表せていないのだとしたら、経済性に限定されないより広く豊かな概念でトークンを捉え直す必要があるのではないだろうか。以上のような問題意識を前提に、トークン設計する上で最初に検証すべきポイントが整理されています。著者は別記事でTokenomicsではなくTokenology(トークン学)という用語の必要性を主張しています。興味のある方はそちらも合わせて通読すると主張の理解が深まるかと思います。 トークンとは何か、トークンという単位を用いてどんな社会を作ることができるだろうか。これからのトークンデザインを改めて捉え直したい方にオススメしたい一本です。 
(文責:masao yanari)

复盘 PEPE 和 AIDOGE 暴涨背后,我们如何与 meme 币共舞? 

この界隈、過去何度とミームコインで踊れ、と言われたことだろうか。ソーシャルメディアが日常に浸透した現代社会において感情的なトリガーはそのバイラル性との相関性から察するにその馬鹿馬鹿しさとは裏腹にその存在の意味合いはとても大きい。ただの情報の切れ端にしか見えなかったものがある日突然〝エモい〟アイデアとして、ほんの数日や数週間で世論を一挙に変えてしまうこともある。ソーシャルメディアにおけるミームの役割は悪く言えば人間の文化の堅牢度を下げることに貢献しているし、良く言えば文化をより動的かつ予測できない何かに変容させうるものとして貢献している。本記事は昨今のPepe、AIDOGEでの踊り方をまとめたものですが、改めてミームコインとは何か、どのような仕掛けで成り立っているのか、どう向き合うべきかを改めて学び直すきっかけづくりにちょうど良い教材ではないかと思います。
(文責:masao yanari)

Multiplayer Creation: Unlocking Participatory Media 

ここ最近読んだソーシャルメディア時代における「共創」関連記事の中で最も興味を惹いた記事。
 編集委員会、番組プロデューサーという名のニュースの門番の庇護下にある一部のエリートクリエイター(作家、芸術家等)が活躍するマスメディア時代の名残が未だ残る今日の社会において、低俗で馬鹿馬鹿しいコンテンツ(だとされる癒し系コンテンツ)を生み出すソーシャルメディア上の自称クリエイターたちが(高尚だとされるコンテンツから)世間の関心を奪う様を見て、芸術や創造性は今、破壊されつつある、と懸念(危機感、不快感、)を表明する様に共感しないわけではない。
ですが、少なくともかつての芸術家たちの競争相手は今や、世界に住むすべての人々になりつつあることは確からしい事実の一つであり、人々が笑いながら日々行っているものごとは一見すると馬鹿げて見えるかもしれませんが、そこから怒濤のようにあふれてくる地球規模の創造性、かつての時代の創造とは全く異質なカタチに畏敬の念を感じずにはいられません。
ChatGDPが昨今世間を賑わしたことに限らず、クリエイターという肩書きをより曖昧にしていくツールはAIに限らず、様々な形で世の中から次々と生まれてくるのも自然な流れであろうとも感じます。クリエイターという肩書きの境界線が曖昧になった社会において、いかにしてアイデアが生まれ、反復され、新しくイメージされるのか、そしてどのように文化が形成されるか。このようなことに関心がある方にとって本記事「Multiplayer Creation」の概念整理、共創プロセスの整理、各プロセスの事例紹介等はこれからの社会に対する一解釈として参考になるでしょう。
(文責:masao yanari)

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