Web3の片鱗(5)|無料公開特集「デジタル遺産相続の今とこれから」
2023年03月02日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 「デジタル資産」は既存の物理的な「資産」と同じ枠組みで捉えられるようなものだろうか?
- ■デジタル資産の分類例
- 1.デジタル資産は必ずしも金銭的価値に紐付いているわけでない
- 2.デジタル資産は再利用可能、長期保存可能、所有者だけでなく他の人も利用可能
- 3.デジタル資産は必ずしも「無形資産」というわけでもない
- 法的、社会的、技術的課題の整理
- 【法的課題】
- 【社会的課題】
- 【技術的課題】
- 総括
※「Web3の片鱗」シリーズはレポートではなく、Web3界隈の断片的な気づき、界隈の違和感(結論のない、so,what/だから何)を記したエッセイです。
いわゆる「デジタル資産」は物理的な「資産」同様に法的権利を付与された資産になりうるのでしょうか、仮に法的に相続可能な資産として取り扱われるとして、そもそもそれは現行の法律のもとで定められる対象、られるべき対象(リベラリストとしての感想です)なのでしょうか。
結論から言えば、暗号資産については国税庁より取扱い方針が発表されており、暗号資産の相続問題についてGoogleに問い合わせると、専門家によるデジタル資産の相続手続きの流れに関するイロハを述べた複数の記述を見つけることができます。
ただし、NFTの場合は未だ資産価値の評価も含め、取り扱いルールが定まっておらず、相続できるのか否かは幾分不明瞭です。加えて、暗号資産の相続が可能であるとして、それは中央集権取引所の管理下にある場合は、その取引所の規約に従って手続きを進めていくことができるようですが、一方で匿名の暗号資産ウォレット(セルフカストディウォレット)で自己管理しているデジタル資産については管理者の死後の資産の権利如何、相続方法の如何については不明瞭な部分が多いように感じます。これは法的に、ももちろん考慮する必要はありますが、それ以上に技術的に、管理者の死後の権利をトラストレスな方法で守ることができるのか否かも気になります。
また、デジタル資産に対する明確な定義は執筆時点では存在してはいないものの、BTCはデジタル資産だけれど、NFTはデジタル資産ではないといったような解釈がなされることから、旧来の「資産」の定義の対象と「デジタル資産」と呼んでいる対象のズレに、えも言えぬ違和を筆者は感じます。
言わずもがな、Web3という名で知られる一連のムーブメントにはデジタルアイデンティティやそれに紐づく各種アクション履歴、フォローフォロワーといったオンライン上のつながりをもブロックチェーン上のユニークな資産(仮)として技術的に表現するようなDeSocialの流れも活発化し、今後は非金銭的な価値を持つNFTを保有するユーザーが増加していくことも予想されます。
しかしながら、それを現行の法律下で資産として認め、相続できるのかと言えば暗号資産で取引可能な1/1のNFTでさえルールが曖昧なのですから、取引対象ではない非金銭的なNFTともなればさらに「?」なのではないでしょうか。
【DeSocial、アイデンティティ関連レポート】
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今回のWeb3の片鱗(5)では資産とも認められないデジタル資産(らしきもの)を含むデジタル資産の分類整理、法的、社会的、技術的課題の整理、執筆時点での提案内容の整理を行い、「デジタル遺産の今とこれから」を考えるきっかけを提供します。
※免責事項 なお、本稿では法的な内容にも一部触れますが、筆者は法律の専門家ではなく、本稿に記載の情報は法的アドバイスを提供するものではありません。法的アドバイスを必要とする場合は、資格のある法律専門家に相談する必要があります。あくまでも筆者の些細な疑問から発した「So,wthat?/だから何?」を綴ったエンタメの一種としてご覧いただければ幸いです。
【Web3の片鱗シリーズ】
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