Tokemakの概要 DeFiのエコシステムに持続的な流動性をもたらすプロトコル
2021年10月31日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Tokemakの概要
- 基本的なコンセプト
- サイクル
- Impermanent Lossをどのように回避するか
- 独自トークンTOKEの概要
- 総論
前提
本レポートではTokemakの概要について解説します。
Tokemakは分散型マーケットメイキングプロトコルと自称しており、DeFiのエコシステムに持続的な流動性をもたらすことを目的に開発されているプロトコルです。
DeFiにおいてはAMM型の分散型取引所が主流で、誰でも取引アセットのペアをつくりスマートコントラクトにデポジットすることで流動性提供(マーケットメイキング)ができるようになりました。従来の金融取引市場では、マーケットマイキングとはBotによる高速トレードなどを前提とした一部の人にしか出来ませんでした。
AMMの登場により、ユーザーは流動性提供をして取引手数料を稼ぐことが簡単になりましたが、これはユーザーだけでなく分散型取引所の運営側(DAO)にとっても魅力的です。流動性提供が簡単になることで、初期の流動性を取引所に呼び込むことができて、その分散型取引所はスリッページの少ない良い取引価格を提示できるようになるからです。高い流動性は良い取引所として必須の条件であり、ひいてはその分散型取引所の手数料収入にも関わります。
一方で、 現在主流のAMM型の流動性提供にもまだユーザーのハードルや、分散型取引所側にとっての課題もあります。まずユーザー側の課題は流動性提供をしたいアセットがあれば1:1で等分で用意しなくてはなりません。BTCだけ、ETHだけで流動性提供できるような機会は仕組み上、あまりありません。加えてImpermanent Lossによる損失が発生する可能性もあります。これら流動性提供に伴うユーザーのリスクは下記のレポートが詳しいです。
また分散型取引所、DAO側にとっての課題は、流動性を呼び込み続けるにはトークンのインセンティブを出し続けないといけない傾向にあることです。多くの流動性提供者は流動性提供を利益・インセンティブを目的に行っていますが、そのインセンティブはスワップによる手数料だけで補填することは困難で、独自トークンを配布し続けないと流動性が滞留しない分散型取引所が多く存在します。独自トークンによるインセンティブがなくとも流動性が滞留する分散型取引所はUniswapなど一部のみで、それ以外の分散型取引所は流動性獲得のために独自トークンをトレジャリーから市場に放出し続けたり、インフレーションを余儀なくされます。あるいは分散型取引所でなくても独自トークンを発行しているプロジェクトはいずれも自身のプロジェクトのトークンの流動性獲得が困難です。
Tokemakはこれらのユーザー側の課題(単一アセットでの流動性提供ができない・Impermanent Loss)、分散型取引所やDAO側の課題(流動性獲得が困難)の双方を解決してDeFiのエコシステムに持続的な流動性をもたらそうとしています。
今回のレポートでは同プロトコルの概要と仕組みについて解説します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。