再エネ用ミニグリッドを対象としたDeFiクラウドファンディングプラットフォーム|ENGIE Energy Access社のビジネスモデル考察
2021年07月08日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- ENGIE Energy Accessのビジネスモデル
- 概要
- 主なサービス内容
- Energy web ChainベースのDeFiクラウドファンディングプラットフォームの導入と予想されるビジネスモデル
- 総論
前提
本レポートではオフグリッドコミュニティにブロックチェーンベースの電力ミニグリッドを提供することを目的としたENGIE Energy Access社の事業内容を概説します。また調査時点で開発着手を発表されたDeFiクラウドファンディングプラットフォームを発表されている断片的な情報から予想されるビジネスモデルについて考察します。 ※オフグリットコミュニティとは電力会社の送電網に繋がっていないコミュニティのことを指します。
同社はアフリカを拠点にスタンドアロン型のPV(太陽光発電)システムと電化製品をオフグリッドコミュニティ向けに販売をしている組織です。SDGsの7番目の目標である"Affordable and Clean Energy"に該当する活動、つまり全ての人々に持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保することが同社の目指す世界感です。
上図表はオフグリッドで生活している人々の割合を地域ごとに可視化したものです。この図にあるようにアフリカ大陸にその多くが偏っていることが伺えます。2019年時点ではサハラ以南に推定5億8,000万人がオフグリットで生活をしているとされており、この地域だけで世界のオフグリッド人口の3/4を占めています。同社はこれまでに100万人を超える顧客にPV(太陽光発電)システムとミニグリッドソリューションを提供し、その結果500万人以上のオフグリッドコミュニティに電力を提供してきた実績があります。
本レポートでは前半にENGIE Energy Accessの従来のビジネスモデルを解説し、後半ではEnergy Web Chain(PoAブロックチェーン)を裏側で走らせた分散型金融アプリケーション組み込みモデルについて解説します。なお同社のアプリケーションは(厳密には異なりますが)広義のDeFiであるとも捉えられますので本レポートでは便宜的にDeFiと記述します。これがDeFiであるか否かに関わらず、これまでパブリックブロックチェーンのDeFi Protocol DAO群が実践してきた資金調達の仕組みを法人が応用しようとする動きとして注目されます。
【関連レポート】
ENGIE Energy Accessのビジネスモデル
概要
ENGIE Energy Accessはアフリカを中心に従量課金制のエネルギーソリューションを提供する事業体です。同じENGIEグループであるFenix International、ENGIE Mobisol、ENGIEPowerCornerを統合する形で現在のENGIE Energy Accessが誕生しています。元となった各組織が提供しているサービス内容はPVシステムプロバイダーかミニグリッドプロバイダーかの差はありますが、大きな違いはその活動地域にあります。この統合によりアフリカ9カ国(ベニン、コートジボワール、ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、ルワンダ、タンザニア、ウガンダ、ザンビア)で個別に展開していた各事業をENGIE Energy Accessが束ねる形になっています。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。