DeFi(分散型金融)の重要な7つのトレンド 2021年7月版

目次

  • 前提
  • 主要な数値データ
  • トレンド1:資本効率性の高いAMM型分散型取引所の模索
  • トレンド2:マルチチェーン展開がデファクトスタンダードになる
  • トレンド3:レイヤー2の実用の開始
  • トレンド4:資本効率性の高い様々な種類のプロダクトの登場
  • トレンド5:IDO(Initial Dex Offering)の継続
  • トレンド6:DAOの規模の拡大
  • トレンド7:流出事件は今後も増加し、それに伴い規制当局のDeFiの関心が高まる
  • 総論

前提

2021年も上半期が終わり下半期に差し掛かっています。
今回のレポートでは、DeFi(分散型金融)の重要なトレンドの概観を行います。2021年は前半だけでもDeFi分野で様々な発展がありましたが、それらを振り返りながら下半期も継続するだろうトレンドを纏めます。
暗号資産のDeFiという一分野の中だけでも様々なことが起こっており全体像を把握することはますます困難になっています。今回はDeFiの現在の主要なトレンドを7つに絞って解説します。
本レポートは重要な動向を大まかに認識できるような内容を目指しています。

主要な数値データ

まず最初に主要な数値データを概観します。
DeFiの成長指標としてよく用いられるプラットフォームにロックされているアセットの時価総額を示すTotal Value Locked(TVL)を見ていきましょう。Ethereum6月末時点のTVLは約$46Billionで年初から2.7倍の成長しています。内訳は上位からAave、Curve、Compound、MakerDAO、InstaDAppです。
参照:https://www.theblockcrypto.com/data/decentralized-finance/total-value-locked-tvl
また、Binance Smart ChainのTVLは$13Billionです。Binance Smart ChainのDeFiは年初にはほとんど存在しなかったので、2021年中にゼロからここまで成長したと言えます。
参照:https://www.theblockcrypto.com/data/decentralized-finance/total-value-locked-tvl
分散型取引所の取引高はほとんどの月で前月出来高を更新してきましたが、6月は大きく減少しています。5月は過去最高で$160Billionです。
参照;https://www.theblockcrypto.com/data/decentralized-finance/dex-non-custodial/dex-volume
加えて分散型取引所の現物取引高が中央集権型取引所に対してどの程度の割合を示しているかが以下です。2021年6月には中央集権取引所に対して10%が分散型取引所の出来高となっています。
参照:https://www.theblockcrypto.com/data/decentralized-finance/dex-non-custodial/dex-volume

トレンド1:資本効率性の高いAMM型分散型取引所の模索

1つ目の主要なトレンドは資本効率性の高いAMM型分散型取引所の模索です。
DeFiのエコシステム全体の中でも最も主要な機能と言える分散型取引所は、Uniswapに代表されるAMM型と呼ばれるものでした。
AMMでは流動性提供者がスマートコントラクトの流動性プールに資金をデポジットして流動性をつくり、その流動性を利用して取引したい人はトークンの交換が出来るという仕組みです。
Uniswapでは、流動性提供プールに提供されている2つのペアのトークンの在庫を、x*y=Kの計算式に基づいて取引したい人に価格を提示するシンプルな仕組みでした。Uniswap以後も様々な分散型取引所が基本的にはこの形式を採用していました。
しかし最近になって、多くのAMM型の分散型取引所が仕組みの発展を求めるようになりました。x*y=Kの計算式のままより効率性の高い仕組みを実装したり、あるいは異なる価格決定ロジックのものが生まれています。
その理由は様々ですが最も大きな理由は、これまでのAMM型の場合、取引需要に対してスプレッドが少ない価格提示をするために必要な流動性の総量が大きかったことが挙げられます。それはつまりは資本効率性が悪いということです。直感的なシンプルな説明をするならば、AMM型分散取引所では流動性プールに在庫があるにも関わらず取引には使用されないトークンが相当量滞留することになるので、それを有効活用したり、あるいはより少ない資本で効率的な価格提示ができないかという取り組みが目立ち始めました。
代表的なものでは、Uniswapは最新のバージョンのv3で、集中流動性提供という概念を新しく提供しました。価格提示ロジックはx*y=Kのまま変わりませんが、v3ではUniswapに流動性を提供する時に、どの価格帯で流動性提供を行うかを指定することができるようになります。集中流動性提供では例えば、ETH/DAIのペアでETHが1800DAI-2000DAIの幅のみで流動性提供を実行するというようなことが可能になります。
これによってユーザーにとって重要な変化は、全ての価格帯で流動性提供するのではなく、価格帯を狭めることによって少ない資本で効率的な流動性提供が可能となり手数料報酬の増加を狙えるようになったことです。そしてプロトコルにとっても、少ない資本で大きな流動性を見込め競争力のあるプロトコルに成長できることが期待できます。
Uniswap v3以外にもこのような取り組みが目立っています。Balancer v2ではAsset Managerという機能が導入され、Balancerにプールに提供されている流動性の一部をレンディングプラットフォームに提供することで利回りを獲得し、資本の効率性を高める役割を果たします。
Curve v2ではx*y=Kの計算式に基づかない形式で集中流動性提供をする概念を提唱しました。取引が起きた価格の移動平均を内部オラクルとして持ち、そのオラクルに基づいてprice scaleが決定され、流動性提供者の資本はそのprice scaleに集中するといいうものです。Uniswap v3ではユーザーが価格を指定して集中流動性提供をしますが、その価格レンジがプロトコルのアルゴリズムによって動的に変化をするのがCurve v2です。
ここで挙げたUniswap、Balancer、Curveは分散型取引所の中でも最も主要なプロトコル群ですが、いずれもシンプルな流動性プールの仕組みから移行を始めており、資本効率性の高いAMM型分散型取引所は明確なトレンドであると言えます。

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