Uniswap v3の概要 流動性提供範囲の指定によって実現する機能

目次

  • 前提
  • Uniswap v3の概要
  • 総論


前提

本レポートでは月間取引高が380億ドル(約4兆円)を突破したUniswapの最新機能の概要をお伝えします。Uniswapは世界最大のDecentralized Exchange(DEX=分散型取引所)で、今や中堅レベルの中央集権型取引所に比肩するレベルの取引高を誇っています。Uniswapは初期バージョン、v2までがローンチされており、今回発表されたのはv3です。v3で追加されるメイン機能には「流動性提供の範囲指定」、「債権トークンのNFT(Non-Fungible Token)化」、「手数料率の選択制」があり、特に流動性提供の範囲指定はこの機能を起点として様々なユーザー体験を可能としますので詳述します。
TradingViewより。直近3ヶ月のUNIチャート。


Uniswap v3の概要

流動性提供範囲の指定

概要:
Uniswapに流動性を提供する時に、どの価格帯で流動性提供を行うかを指定することができるようになります。流動性提供とはETH/DAIのペアで、$100分のETHと$100分のDAIをUniswapにデポジットし、マーケットメイキングに参加することを指します。
これまで:
今までは価格帯の指定はできませんでしたので、理論的な範囲は$0~無限でした。換言すると、どの価格帯に対しても流動性提供を行い、どのような価格変動があっても片方のトークン数量がゼロにはならないような曲線でトークン価格が決定されていました。
これから:
以下の画像のように価格帯を指定して流動性提供が可能となります。
https://uniswap.org/blog/uniswap-v3/ (1つ目の動画)
これによって何が起こるかというと、ユーザーにとって重要な変化は①価格帯を狭めることによって少ない資本で効率的な流動性提供が可能となり手数料報酬の増加を狙えるようになったこと、②指定した価格帯にすべての流動性を投入するため価格帯が狭ければ狭いほどImpermanent lossの影響が大きくなること、の2点が挙げられます。
①の資本効率について見てみましょう。ユーザーは各々の判断に基づいてどの価格帯で流動性提供をしたいかをUniswapのウェブサイトから指定します。実際の価格が設定価格の外側にある場合は、その流動性はUniswapから一時的に除外されます。Uniswap全体の流動性は以下のように、すべての流動性提供者の流動性と設定された価格帯の総和として現れます。
https://uniswap.org/blog/uniswap-v3/ (2つ目の動画)
②(手数料収入の最大化という意味での)資本効率の高さはImpermanent lossを伴うものであることには注意が必要です。Impermanent lossについては後述するとして、資本効率の良さを見てみましょう。以下の画像をご覧ください。価格範囲を$1,000~$2,000にした場合と、$3.00~3.50にした場合の資本効率が価格範囲を指定しない場合と比較されています。イメージとしては同じ面積を持つ流動性の底辺(価格範囲)を短くすることで、高さ(流動性)が伸びていると考えれば良いでしょう。
https://uniswap.org/blog/uniswap-v3/ (3つ目の動画)
一方で価格帯を狭めることによって、流動性提供者は価格変動リスクをより大きく受けることになります。何故なら「より狭い範囲で自身の流動性をすべて使い切ってしまうために、マーケットメイカーとしての余力がその範囲の極でゼロになるように設計されているから」です。
より直感的には公式記事の「Active Liquidity」直下の動画をご覧ください。市場価格が自身が設定した価格範囲の上限と下限に達するたびに、自身が提供している流動性ペアが0%:100%、100%:0%になっていることが確認できます。この動画ではDAI-USDCペアが使われていますので、影響は軽微に感じられますが、同じことをETH:DAIでやれば価格変動リスクが大きくなることを感じていただけると思います。
https://uniswap.org/blog/uniswap-v3/
この価格変動リスクを負う代わりに手数料報酬を最大化することができ、公式ブログでは1,800万円(価格範囲設定あり)を使って1億円(価格範囲設定なし)と同じだけの手数料報酬が得られる例を提示しています。もちろん、前者のほうにより大きな価格変動リスクがあります。
https://uniswap.org/blog/uniswap-v3/
v3での各種設定は上の画像のようにフロントエンドから変更できるようになるようです。
価格範囲設定は指値注文としても機能します。例えばDAIが1USDCの時に、1.1USDC~1.2USDCの範囲を設定して事前に流動性提供しておけば、DAIの価格がこの範囲まで上昇した段階で徐々にDAIが売却されていきます(取引所での指値注文とは異なり、価格が元に戻れば再度DAIを所有することになりますので手数料分の収益が残ります)。

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