Ethereumのガス価格に投機できるuGASの概要
2020年12月04日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- uGASの概要
- ガス価格への投機
- ヘッジ目的での利用
- 空売り
- 総論
前提
本レポートではUMA(Universal Market Access)が新しくローンチした「Ethereumのガス代先物」を概観します。
まずUMAについてですが、UMAはSynthetixに類似した合成アセットを作るためのプロトコルです。合成アセットの守備範囲は柔軟で、オラクル(価格情報など)に代表される合成アセットを作るための材料さえあれば様々なアセットの生成が可能です。
今回UMAがローンチしたのがEthereumのガス代先物です。EthereumにおけるガスはEthereumブロックチェーンの利用料のようなもので、Ethereum上でトランザクションを生成したり、ストレージを消費したりする際に徴収されるものです。Ethereum上の資源は有限であり、単位時間あたりに処理できるトランザクションの規模は一定、もしくは徐々にしか上がらないため(マイナーの投票によりブロックガスリミットはブロックごとに変更可能)、需要が大きくなった場合にはそれに伴ってガス代も高くなります。
以前はCryptoKittiesという猫トークンで遊ぶゲームによって、今年はDeFiによってガス代が大きく引き上げられ、一時は通常のガス代の50倍にまで高騰しました(20 Gwei→1000 Gwei)。
数値に動きがあるとそこにトレードの機会を見出すのがトレーダーですが、今までは1inchが開発したChi Tokenくらいしかガス代に対する投機手法がありませんでした。Chi Tokenはガス代が安いときにストレージを専有するトランザクションを生成することで、Ethereum上のストレージを解放する際に得られるガスコストの払い戻しの仕組みを利用できる状態を作り出し、ガス代高騰時に通常よりも安いガス代を実現させるものです。
Chi Token自体にも価値がついており、Uniswapでの売買が可能ではありますが、Chi Tokenの価格とEthereum上のガス代はリンクしているわけではなく、ガス代が高騰しているからといってChi Tokenの市場価格も一緒になって上昇していくわけではないため、ガス代への投機という目的においては不完全なものでした。
次節からはUMAのガス代先物の概観を行います。
*参照レポート:UMA概要 あらゆる金融契約をスマートコントラクトで 実現可能にするDeFiプロトコル
https://hashhub-research.com/articles/2020-05-22-uma-overview
https://hashhub-research.com/articles/2020-05-22-uma-overview
*参照レポート:Synthetixの本質を俯瞰して理解する
https://hashhub-research.com/articles/2020-04-25-synthetix-deep-dive
https://hashhub-research.com/articles/2020-04-25-synthetix-deep-dive
*参照レポート:Ethereum上のガスを擬似的に保管して再利用するガストークンの概要
https://hashhub-research.com/articles/2020-07-09-gas-token-overview
https://hashhub-research.com/articles/2020-07-09-gas-token-overview
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