本レポート『低迷するETH｜アンダーパフォーム市場の実態分析と今後の展望』では、2024年半ば以降のEthereum市場の動向に注目し、ETHの価格低迷の背景とその変化について検証を試みます。市場全体では、Bitcoinや他の主要暗号資産が比較的安定した推移を見せる一方で、ETHのみが大幅な調整局面にある点が際立っています。以下の資料では、2024年7月以降に見受けられるリターンの悪化、手数料収入の低下、さらにはETH供給量の変動といった現象について、具体的なデータと分析をもとに解説します。

昨年2024年の暗号資産市場は、年初に米国でBitcoin ETFが承認されたことで、大きな転換点を迎えました。この歴史的な出来事は市場に熱狂をもたらし、特にBitcoin（BTC）には莫大な資金が流入。その影響はアルトコイン市場にも波及し、Solana（SOL）やEthereum（ETH）といった主要銘柄も、ETF承認後の数ヶ月間はBTCとともに強い上昇トレンドを示していました。

この期間、ETHの価格推移はBTCやSOLとほぼ一致しており、3つの資産のリターンは高い相関を維持していました。市場全体がリスクオンの姿勢を強める中で、主要な暗号資産が揃って上昇するのは自然な流れだったと言えるでしょう。しかし、2024年7月を境に、ETHの動きはBTCやSOLとは明確に乖離し始めます。

BTCとSOLが年後半にかけて堅調に成長する中、ETHは独自に低迷する局面へと突入しました。2024年を起点として2025年2月の時点で、BTCとSOLはそれぞれ123.7%、84.2%のリターンを記録した一方、ETHのリターンは20.3%にとどまり、大きくアンダーパフォームしています。（図表1）