中央銀行のデジタル通貨とFacebookのLibraは何が異なるか

目次

  • 前提
  • 各国中央銀行のCBDC研究状況と導入の狙い
  • 各国のLibraへの反応
  • 総論
  • 参考

前提

本レポートではFacebook LibraCBDC(Central Bank Digital Currency)を概観します。ビッグプレイヤーによるデジタル通貨という共通項があるため、比較対象として使われることがある両者ですが、設立の背景や目的は異なります。LibraとCBDCについては既に複数のレポートを提供しておりますので、過去記事の再読を行いたい方は特に以下のレポートをご覧ください。
*レポート:グローバル企業vs国家という観点でFacebookがイニシアチブをとる暗号通貨Libraを考察する
https://hashhub-research.com/articles/2019-06-27-global-company-vs-state
*レポート:中央銀行がデジタル通貨を発行することについての議論。デジタル通貨は何をディスラプトするか?
https://hashhub-research.com/articles/2019-08-29-what-cbdc-will-disrupt
簡単にLibraのおさらいをしておくと、Libraは金融サービスにアクセスできない17億人の人々の金融包摂を設立の理由としています。Facebook単体ではなく、複数の大企業(最終的には100社、現在は発表当初の28社から減って21社)でコンソーシアムネットワークを作り、その上に法定通貨の裏付けのあるトークンを流通させるという構想です。
Libraでは保有している資金に対して利子は発生せず、Libraネットワークに参加する企業はネットワークの参加と維持に対する報酬として、利子を受け取ることが出来ます。これは国債等の安全資産の利回りにも応じて変化するのですが、ユーザーは無料で従来の法定通貨よりも便利なマネーを使える代わりに、企業が利子を受け取ることを受け入れる仕組みです。
このような制約があっても、価格が下落し続ける自国通貨の保有を強制されている人々とってはLibraは魅力的な選択肢となります。このような意図があるため、Libra上のトランザクションは当然クロスボーダー取引が多くなります。
一方で後述するようにCBDCは、利子の付与に関しては定かではないものの、クロスボーダー取引を第一に考えて自国のデジタル通貨を設計している兆しはありません。CBDCは、決済の安全性や効率化を目的に研究されていることが多く、Libraのように最初からグローバルで展開することを狙っているわけではないという大きな違いがあります。

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