レイヤー2におけるレベニューシェアとユニオン|Superchainのインターオペラビリティを軸に考察
2024年08月15日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Superchainのビジョンとレベニューシェア
- Superchainのインターオペラビリティの概要
- Superchainインターオペラビリティのロードマップ
- 考察:L2エコシステムの成長は、インターオペラビリティを備えたブロックチェーンユニオンが鍵を握る
- どのL2が最も成長するのか、という問いに単一の勝者は現れないと考える理由
- L2エコシステムの成長に、インターオペラビリティが必要な背景
- 総括
前提
本レポートでは、Superchainのインターオペラビリティの概要を軸に、L2エコシステムがどのように成長するかを考察します。
Superchainとは、OP Labsが開発するロールアップキットであるOP stackを共有したL2の集合体であり、相互運用性があり、水平方向にスケーリングされる、ネットワークの総称です。
今回、OP Labsからインターオペラビリティに関するロードマップについて発表されました。
OP stackもそのひとつであるRaaS(Rollup as a Service)により、いくつものL2が開発されています(L2BEATに掲載されているプロジェクトは42チェーン)。
これらは、基本的に独立したネットワークであり相互運用するためには、ブリッジングやクロスチェーンソリューションが必要です。サイロ化されたL2は、いわゆる流動性や開発ツール、エコシステムの断片化などを引き起こし、技術やコミュニティの発展の阻害要因になるといわれます。
そこで、インターオペラビリティや複数チェーンによる連合(ユニオン)の重要性に焦点を当て、これからのL2エコシステムの発展がどのように進むかを考察しています。
結論として、単一のL2が支配的になるのではなく、複数のチェーンが互いに補完し合うユニオン単位での成長こそが、L2エコシステムの成長を持続的にする可能性を見出しました。
なぜ、このような結論に至ったのかをSuperchainのインターオペラビリティの概要を踏まえて解説を行います。
Superchainのビジョンとレベニューシェア
Superchainは、Ethereumのスケーリングソリューションのユニオンとして、L2の断片化を防ぎ、L2間での相互運用性を確保します。
Optimism Collective(DAO)はOP Mainnetや構成されるブロックチェーンそれぞれから生まれるシーケンサー手数料を集約することで公共財に再分配する活動をしています。これは、Ethereumの存在意義とのリンクがあります。
例えば、Baseは、OP stackによって開発されておりシーケンサー手数料をDAOにレベニューシェアしています。
具体的には、Baseの総シーケンサー収益の2.5%、またはBaseの純オンチェーンシーケンサー収益(L2でシーケンサー手数料からL1コストを差し引いた収益)の15%のうち、大きいほうが支払われることになっています。また、長期的な提携のために、契約締結から6年間で最大約1億1,800万OPトークンを獲得する機会をBaseに提供されています(ガバナンス投票への制限はあり)。
このように、Superchainを構成するOP stackのチェーンは、DAOとの提携を結ぶことができます。
立ち上げ初期のL2には、アプリケーションを誘致するためのOPトークンでのインセンティブを行いブートストラップとしての効果もありますので、RaaSによる立ち上げのサポートもあることから、これまで複数のチェーンがSuperchainとして参加しています。
Superchainに注目する理由は、Arbitrum Orbitや、Agglayer(Polygon)、Elastic chain(zkSync)などのブロックチェーンによるユニオンを形成する動きを先導しているからです。
これらの構想は、いずれも現時点ではすべてインターオペラビリティに取り組んでいますが、具体的なロードマップは未発表です。
例えば、Arbitrum Orbitでは、ドキュメントに「ネイティブに相互運用可能な Orbit チェーンを簡単に起動できるようにするツールとパターンの開発に全力で取り組んでいる」と記されていますが、具体的なロードマップの公開には至っていません。
Superchainのインターオペラビリティの概要
Superchainの目指すところは、複数のチェーンがあたかも1つのチェーンであるかのように機能し、ユーザー、資産、開発者がネットワーク内外を自由に移動できる環境を作り出すことです。
Superchainのインターオペラビリティは、いくつかの技術的要素によって支えられています。以下のような図に整理できます。
ここでは、ドキュメントより技術要素を簡潔に紹介します。
ここでは、ドキュメントより技術要素を簡潔に紹介します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。