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Web3.0における最新資金調達トレンド分析 #33

2024年08月11日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • #33_資金調達の潮流

前提

本シリーズでは、どのようなWeb3.0関連のスタートアップやプロジェクトに資金が集まっているのか、その最新の傾向とパターンを解説します。今回の#33では、2024年8月3日から2024年8月9日にかけての資金調達活動を調査し、どのカテゴリーが最も注目を集め、どのような特徴が見られるのかを分析しています。
【今週の主な話題】
  1. DePINプロトコル「DAWN/分散型ワイヤレスネットワーク」を開発するAndrena、Dragonflyをリードに1,800万ドルを調達
  2. オンチェーンゲームとAutonomous worlds向けのインフラを提供する「Cartridge」、シリーズAラウンドで750万ドルを調達
  3. AI to Human Payments(AIから人間に対する報酬支払い)の実現を謳う「Payman」、Visa、Coinbase VC等から300万ドルのプレシード資金を調達
  4. Move VMベースの並列ビットコイン・ロールアップを開発するnexio、220万ドルのプレシード資金を調達
  5. zkEVM Web3 AIベースのゲームパブリッシャー「Pentagon Games」、600万ドルの資金調達
※本レポートでは当該期間中のトレンドのみを取り上げて解説します。各プロジェクト概要は添付リストの概要欄及び参照URLをご参考ください。

#33_資金調達の潮流

※グラフ記載の$_Mは当該期間中の調達合計、(_cases)は調達したプロジェクト件数を表しています。なお、資金調達報告は確認されているものの調達額が公開されていない場合は、ケースとしてカウントしてはいますが、調達額の計算には含んではいません。
以下、「2024年8月」「直近1週間」「2024年度Q3」の資金調達の潮流を概説します。

1.「2024年8月」

調査時点で観測している8月の投資ラウンド件数は計28件、公開情報に基づく調達額は約$0.15B(※非公開情報を含まない金額)の資金調達報告を確認しています。

2.「直近1週間」

直近一週間の投資ラウンド件数/週は20件、公開情報に基づく調達額/週は約$86M(※非公開情報を含まない金額)です。
この期間中、公開された資金調達額ではインフラセクター($39.7M)、ゲームセクター($24.3M)、DeFiセクター($18.5M)の順に大きく、件数ではインフラ(8件)、ゲーム(6件)、DeFi(4件)の順に多くの資金調達報告を確認しています。
より細かな分類(上図)では、DePIN($18M)、AI($11M/2件)、ゲームソリューション($10.6M/3件)領域に比較的多くの資金が流れていることを確認できます。

2.1.DePINプロトコル「DAWN/分散型ワイヤレスネットワーク」を開発するAndrena、Dragonflyをリードに1,800万ドルを調達

出典:DAWN Validator Chrome Extension
SolanaベースのDePINプロトコル「DAWN/分散型ワイヤレスネットワーク」を開発するAndrenaが、Dragonflyをリードとする資金調達ラウンドで1,800万ドルを調達。
他の投資家にはCMT Digital、Castle Island Ventures、Wintermute Ventures、6th Man Ventures、ParaFiが含まれます。このシリーズA+ラウンドは、SAFEとトークンワラントで構成され、Andrenaの資金調達総額は3,800万ドルになりました。
2016年設立のAndrenaは、2019年からニューヨーク、ニュージャージー、テキサス、テネシー、フロリダ、ペンシルバニアなど米国10州にわたり、数百の屋根に設置されたワイヤレス機器を使ってインターネットサービスを提供。価格帯は100Mbpsまで月額30ドル、200Mbpsまで月額35ドル、500Mbpsまで月額45ドル。 初月は無料で、ルーターや設置費用、税金、その他の隠れた費用は一切かからないようです。

出典:DAWNホワイトペーパー
Andrenaは「インターネット帯域幅をコモディティ化する」ことを目的に、新たに開発中のDAWNプロトコルを通じて、各家庭が高速インターネットのアクティブなノードとなり、余剰帯域幅を市場で売買できるシステムを提供するとしています。こちらは別途ノード運用費用が発生します。

事業内容としては、同じくSolana上で展開しているHeliumおよびHelium mobileが近しいプロジェクトだと言えます。
[参考]

2.2.オンチェーンゲームとAutonomous worlds向けのインフラを提供する「Cartridge」、シリーズAラウンドで750万ドルを調達

Dojoゲーム|出典:https://cartridge.gg/
Cartridgeは、オンチェーンゲームとAutonomous worlds向けのインフラを提供する企業で、シリーズAの資金調達ラウンドで750万ドルを調達。この資金調達はBitkraft Venturesが主導し、Fabric、Dune、StarkWare、Primitive、Ergodicが参加しています。
また、Cartridgeは「Dojo 1.0」という、provableゲームやAutonomous Worldsを構築するためのオープンソースの開発ツールセットとフレームワークを発表。Dojoには以下のようなツールが含まれます。
  • Framework:アプリケーションを構築するためのコントラクトとプロトコルのセット
  • Katana:拡張可能なシーケンサー
  • Torii:ステート同期用に自動生成されたGraphQL および gRPC api を公開するインデクサ
  • Sozo:スマートコントラクトのデプロイ、アップグレード、保守のための宣言型移行計画ツール
  • …etc
出典:Dojoドキュメント
このフレームワークを使用して、この夏にリリースされる複数のオンチェーンゲームをサポートしているとのこと。なお、今回調達した資金はチームの拡大、およびエコシステムを成長させる計画に用いられるようです。
[参考]
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