大企業にメリットがあるRWAとその課題
2023年08月15日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提:RWA(Real World Asset)は企業に向いている
- RWAの仕組み
- RWAの課題
- ソーシャルレンディングとの比較
- 総括
前提:RWA(Real World Asset)は企業に向いている
本レポートではRWA(Real World Asset)が企業に向いている理由を考察します。本レポート執筆時点はDeFiやCeDeFiの領域でRWAが注目を浴びています。背景としてインフレ対策として政府が金融引き締めを行い、政策金利を上昇させたために米国短期国債の利回りが上昇し、この国債を裏付け資産として商品を発行するプロジェクトが増えているためです。
また米国短期国債以外に投資する商品も人気を集めています。RWA関係のデータを提供するRWA.xyzによると、RWA市場のTVLは2022年5月頃の1,400Mドルがピークです。その後は2022年6月22日に起きたMaple Financeの貸し倒れから下落傾向になり、FTX破綻後の2022年末にもっとも低くなっています。しかしその後はCentrifugeが堅調な成長を見せ、TVLは徐々に成長しています。
とはいえ、もっともTVLの高いCentrifugeでもDeFiプロトコル全体と比較すると30~35位程度です。これはLSD-FiでもっともTVLの高いLybra Financeより少し低い程度です。
このRWAはWeb3プロジェクトが行うより、Web3の大企業が行う方が向いていると考えます。本レポートでは企業でWeb3プロジェクトを検討する人をターゲットに、RWAプロジェクトとその仕組みの紹介、過去に起きた課題とその解決として企業が向いている理由を考察します。
[Exective Summary]
- RWAはオンチェーンだけではなく、オフチェーンで現実世界の資産を扱う。この部分はオンチェーンの透明性を持たないためプロジェクトをトラストする必要がある。
- Web3プロジェクトはスタートアップがほとんどで、プロジェクトが潤沢に資産を持っていない限り事故が起きた際の補填が難しい。またオフチェーンの監査などが必要だが、そのノウハウを持っていない。
- Web2の大企業はブランドを保つために保証を行うインセンティブがある。また監査などのノウハウを持ち、Web3よりRWAを取り扱うのに向いている。
- 本レポートで紹介するRWAはソーシャルレンディングと仕組みが似ている。ソーシャルレンディングと同様の法規制を順守すると開始のハードルはそれなりに高いと思われる。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。