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【2023年GW選書】HashHubリサーチチームがこのGWに読んでいる、またはオススメの書籍

目次

  • はじめに
  • 2023年HashHubメンバーがおすすめする書籍、コンテンツ
  • 投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識
  • MEGATHREATS(メガスレット)世界経済を破滅させる10の巨大な脅威
  • 「シンプルで合理的な人生設計」出版:ダイヤモンド社 著:橘玲
  • 「解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法」
  • 運動しても痩せないのはなぜか:代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」
  • 格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたの

はじめに

クリプト、市場、経済学、社会課題、経営、歴史、哲学、小説など、HashHubリサーチチームのメンバーが2023年GW読んでいる本や休暇中におすすめしたい本をご紹介します。

時間を確保できるのであれば興味のあるものを数冊ピックアップして通読するのも良し、時間がなければ休暇中のちょっとした隙間時間の暇つぶしに気になる本のほんの数ページをおつまみ感覚で掻い摘んで読むだけでも楽しめるかと思います。

2023年HashHubメンバーがおすすめする書籍、コンテンツ

投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識

文責:Junya Hirano
投資関連書籍として私が最もお勧めできるうちの1冊です。
教訓となるような事項が20に分類されています。著者本人が明示しているように20の教訓は優劣がつけられるようなものではなく、その全てが投資において重要な教えです。
その中でも特に暗号資産の投資家が心に留めておくべき箇所としては、市場を上回るパフォーマンスをあげるには好況期に市場と同じ、不況期に市場を上回るパフォーマンスを出すこと、そしてリターンが2倍になってもリスクが2倍になったらそれは市場を上回るとは言えずリスク調整後リターンが重要であるという点です。
暗号資産は未だボラティリティの高い市場で、方向感が決まるサイクルに突入するとナラティブが形成されて急速に市場が動きます。優れた投資家であれば、その中で一貫してリスクを限定してある程度のリターンを安定的に得る方法を構築します。それは例えある1-2年の期間で平均的な投資家にラッキーでアウトパフォームされたとしても、リスクを限定してより長いタイムフレームで収益を出すほうが結果的に優れた投資成績となります。
マーケットで半世紀以上に渡り卓越した結果を出し続ける投資家の金言は、現代の投資市場にも必ず活きる内容です。

MEGATHREATS(メガスレット)世界経済を破滅させる10の巨大な脅威

文責:Junya Hirano
私自身は個人的に2020年代は戦後最も危機を内包している時代に思えます。その危機を過剰債務・人口の時限爆弾・世界の分断など、カテゴリに分けて整理した書籍です。
コロナ渦における給付金のバラマキと、ウクライナ戦争による原材料コストを増加でスタグフレーションに突入したことが懸念されていますが、筆者に言葉を借りれば、今日の状況は1970年代のそれより遥かに暗い状況であると述べています。
GDP対債務は過去例を見ないほどに膨張して、現役世代とは言えない層が増加して今までにない人口ピラミッドが形成されています。それらは1970年代の比較にならない負債で、インフレーションを利上げによって撃退することを極めて困難にしています。バラマキによって形成された質の悪いバランスシートを借り換えるコストや、政府の利払い負担には解決の策を見出すことが困難になっています。陰謀論のようなタイトルですが、それらの内容は全て根拠があり、どこかで顕在化するリスクとして認識するべき内容ばかりです。

「シンプルで合理的な人生設計」出版:ダイヤモンド社 著:橘玲

文責:Lawrence

『シンプルで合理的な人生設計』は、現代社会で生き抜くためのユニークなアプローチを提案する一冊です。著者の橘玲氏は、対処できない問題は問題ではなく、状況や現実として受け入れることが重要であると説いています。選択肢を減らすことでリターンが増え、人生をより豊かにできるとの指摘も興味深いです。
良い選択とは処理コストと機会費用を最小化することであり、選択を避ける最もシンプルな戦略はお金持ちになることだと主張します。効用は逓減するものであり、人生の目的は合理的に生きることではなく、幸福度(効用)を最大化することだと述べています。
さらに、幸福をもたらすのは進化的合理性であり、お金持ちになることがシンプルで効果的な戦略であると説いています。また、損失を嫌がる脳の働きや、ゆっくり成功することの重要性も示しています。
この本は、現実を受け入れながらも、人生を豊かに生きるための鋭い洞察に溢れています。シンプルで合理的な人生設計を求める読者には、ぜひ手に取ってもらいたい一冊です。 

「解像度を上げる――曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法」

文責:Lawrence
本書は、起業家や経営者、ビジネスパーソンにとって非常に有益な一冊です。問題解決能力を向上させ、成功への道を切り開くための知識とツールが提供されています。深さ・広さ・構造・時間の視点を持ち、情報・思考・行動の組み合わせを駆使することで、課題の本質に迫り、効果的な解決策を見つけ出す方法が紹介されています。
環境の変化に対応するために未来の分岐点やシナリオを複数考慮し、顧客の深い課題を突き止めることが求められます。また、具体的な行動法として、最小限の製品(MVP)をリリースすることや、完璧を求めすぎずに行動することで、新たな情報を得て解像度を上げることができます。
課題解決のスキルは、あらゆる分野で役立ちますし、自分自身の成長や成功への道を切り開く力を高めることができます。何かプロジェクトを始めるとき、行き詰まったときにどこを改善すれば事態が好転しはじめるか考えるメソッドを知ることができ、課題解決とその改善のサイクルをより良いものにすることができるでしょう。
学生や専門家、さらには個人事業主にも読む価値がある一冊だといえ、本書を手に取りふわっとしているモヤモヤとした悩み事とは決別しましょう。

運動しても痩せないのはなぜか:代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」

文責:masao yanari

運動しても痩せない……その理由についてはなんとなく知っている。規則正しく、時に変化も許容しながら、長年続けてきた方法でいつも通りにカロリーを摂取しているだけなのに「ゆたかな肉付き」という名のフィジカルアラートでそっとお知らせしてくるのだから、気づかないわけがない。
数年前にリモートワークが当たり前になってからというもの、確かに運動はそんなにしていない。だからと言って、「ジム通い」というキラキラした代名詞を纏うのもなんだか眩しすぎる、だから、それは違う。なんだかんだで運動なんかして消費カロリー/日を増強しようとするよりも摂取カロリーを見直すほうが効果的なんだと思いつづけ、はや数年、未だに中年太りが止まらない。困ったことにドーナツはおいしくできている。
「食べすぎは意志や自制心の問題だろ」と口では簡単に言えるが、実際問題これは思っている以上に厄介で、(意志や自制心の問題がとても簡単なことだと言うなら、町の銭湯に行ってスマートな裸体の中高年が全体の何割を占めているかをその目できちんと数えて確認してみてほしい。ドーナツがおいしくできている因果が如何に厄介な問題であるかを実感するはずだ)この事実を受け入れ、喫緊の課題として取り組まないとさすがにまずいと思い、運動を拒み続けてきたこの数年間を見直そうと本書を棚から引っ張り出してきた。
正直に話すとこの本は昨年末にジャケ買い(死語らしい)したまま、飾りとして半年近く積読し、未だに1ページも読んでいない。運動しても痩せない、人間の1日あたりの消費カロリーには制限がある、そんなことはわかっている。それでも副題に「それでも運動すべき理由」とあるのだから、運動しても痩せないけれども、それでも運動しなければならない尤もらしい理由を提供してくれるんじゃないかという淡い期待でイマ、ココに改めてコレを用意した。
この場を借りて読んだこともない一冊をおすすめする理由なんてものはないが、このGW、中年の体がどうエネルギーを燃やしているか、その燃焼メカニズムを探究し、己の体で学んだ成果を検証したい、と意思表明してくれる輩がいても良いじゃないか、とも思う。
※文化人類学好き(例:ハッザ族のエネルギー消費は先進国の人と同じ)、生物学、人体の謎解き好き(例:肥満の原因を代謝が低いせいと考えるのは誤り、脂質悪玉説と糖質悪玉説、論争の真実)、健康オタク(例:スーパーフードには多くの場合、根拠はない)な方々にとってはおそらく面白い一冊になるのではないかと思います。

(読後の追記)
少しだけ真面目な話をすると(ざっと本著に目を通して新鮮な蘊蓄を仕入れたので)、運動によってカロリー消費を増やして減量しようとする。つまり「代謝を上げて減量する」という話を鵜呑みにしてせっせと日々減量に励んでいるのだとしたら、少しだけ私の蘊蓄に耳を傾けてほしい。そもそも人間の代謝の仕組みは機械とは違って、〇〇運動+××運動+……と足し算で積み上げて消費カロリーを導き出せるようにはなっていない。人体は1日のカロリー消費量を一定の範囲内におさめるために、活動レベルの変化に応じて対応している。

つまり、代謝はエネルギーバランスを決定しているわけではなくて、エネルギーバランスに反応している。

という表現の方が実際は正しいらしい。(残念ながらウェアラブルデバイスが運動量に応じて加算して示すカロリー消費量という数値はエンタメなんだそう)
つまり、どんなに運動しても消費カロリーはある一定の範囲に収まるように脳がカロリー消費量を監視制御しているということ。だから「代謝を上げる」を「減量」という言葉とセットにして謳うとみんな大好き、最新式の「脂肪燃焼」詐欺ができあがる。とはいえ、じゃあ、運動は意味ないのか?というとそうでもない。減量には意味はないが、体重維持には運動は必須。なぜなら運動しないと代謝調整能力が損なわれる可能性があるから。
整理をすると、
  1. 減量のために運動をしてもあまり意味がない。
  2. 減量したいならば摂取カロリーを抑える方が効果的。
  3. だからと言って、運動しないのは良くない。1日あたりの消費カロリーを一定の範囲内に制御する代謝調整能力を維持するために適度に運動はした方が良い。つまり、体重を維持するために運動はした方が良い。
以上おわかりのように、効果的に減量するには摂取カロリーを減らすしかない。ただ、それが問題だ。エネルギー摂取量の調整は代謝率、空腹率、満腹率、これらのシステムを使って脳が自動で制御している。だからこれらのシステムの制御下で自然な欲求に従って生きていれば本来太らないはず。
では、なぜ現代社会に食べ過ぎが蔓延しているのか?それは栄養源である食物が工業化された社会の中でドラッグのようなものに変わってしまっているからだ。つまり、エネルギーバランスを制御する脳の能力を圧倒してしまうほどに加工度(中毒性)の高い食品群が皆さんの手元にまできちんと流通する仕組みが現代工業化社会に内蔵されてしまっているから、普通に楽しくわいわいと平均的な日常生活を営んでいると脳の制御機能にバグが生じて自然と過食するようになっている。

だからこの問題は意志とか自制心とかいう自己啓発系お馴染みの無責任な言葉で簡単に片付けられるような問題ではない。だから中年太りの悩みは尽きないのだ。

格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたの

文責:masao yanari
第1部「成長の謎」、第2部「格差の謎」、本書の主題はこの二つの謎を人類の歴史を通じて解明することにある。
「人類がたとえどれだけ食糧の生産性を上げても、結局その成果は人口の増加によって帳消しになるため、長期的に見れば人類はけっして繁栄できない」
「貧困の罠」として知られるトマス・マルサスによるこの悲観的な仮説は、ホモ・サピエンスの出現からおよそ30万年近く続いた産業革命前の人類社会(歴史の大半)のメカニズムを表していると考えられている。
社会が技術革新によってなんとか余剰食糧を生み出すたびに生活水準は向上するが、それに応じて必ず出生率が上がり、死亡率は下がるため、生活水準の改善は一時的なものにとどまる。増加した人口が余剰食糧を食いつぶすのは時間の問題で、その後、暮らしは生きていくのがぎりぎりという生存水準に戻り、社会は技術革新前と同様の貧しさになる、これがマルサスが無限に続くと断言した「貧困の罠」の仕組み、「停滞」の仕組みである。
ところが、現代日本社会に生きる我々の生活水準はどうだろうか。マルサスが無限に続くと断言した貧困の罠はうまくワークしていないように見える。余剰食糧は足りないどころか、脂肪燃焼というワードが世間の目玉を奪ってビジネスになるほどには過食気味で、中年太りの悩みも尽きない。余剰はあるにもかかわらず、出生率は上がるどころか下がっており、むしろ上げなければと躍起になっている。
我々が生きる(一部の)現代社会はマルサスが突き止めた貧困の罠からどのようにして抜け出したのか(また本当に抜け出せているのか)、停滞の時代が長らく続いた根本的要因はなんだったのか。成長に伴い、なぜ地域によって格差が生じていったのはなぜか。
成長と格差の謎、これらの主題を読み解く読み物としても十分にエキサイティングで知的好奇心をそそるが、各章、各部ごとに設定された人類史の知見からセレクトされた個別のテーマもまたそれはそれで個々に面白く、想像力を掻き立てられる話が多い。十分に時間を確保できるのであれば通読するのも良いが、GW休暇中のちょっとした隙間時間の暇つぶしに気になる章を掻い摘んで読むのもおすすめです。

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