Ethereum The Merge後の大きなアップグレード”Shanghai”を複数シナリオで考察する
2022年12月15日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Shanghaiの概要
- ETHのステーキングの現状
- ETHへの売り圧を中心に複数のシナリオを考察する
- ①:売り圧に対して楽観的なシナリオ
- ②:Shanghai実装時期が遅れた場合のシナリオ
- ③:大口投資家の退場から考えられるシナリオ
- 総括
前提
本レポートでは、EthereumのアップグレードであるShanghaiの概要を解説し、その影響を複数シナリオの観点から考察します。
2022年12月8日に行われたEthereumのAll Core Developers(ACD)Callというカンファレンスにおいて、ShanghaiのアップグレードやEthereumの重要な核でありスマートコントラクトの実行環境であるEVMの更新改善であるEOF(EVM Object Format)を含めた一連のEIP(Ethereum Improvement Proposal)が暫定的な目標として2023年3月に設定することで合意されました。
以下に列挙するのがShanghaiと同時期にリリースされる予定のEIPです。
- EIP-3540: EVM Object Format (EOF) v1
- EIP-3651: Warm COINBASE
- EIP-3670: EOF - Code Validation
- EIP-3855: PUSH0 instruction
- EIP-3860: Limit and meter initcode
- EIP-4200: EOF - Static relative jumps
- EIP-4750: EOF - Functions
- EIP-4895: Beacon chain push withdrawals as operations
- EIP-5450: EOF - Stack Validation
Shanghai(EIP4895)の特徴は、BeaconチェーンにステーキングされたETHをバリデータが引き出しできるようにするという変更です。今年9月に行われたMergeによってEthereumはPoS(Proof of Stake)へとコンセンサス方式を移行し、バリデータとして参加するためにETHをステーキングできるようになりました。
ETHをステーキング(チェーンにロック)することにより、現物ETHを扱えないことによる収益機会の減少対策として、現在ではリキッドステーキングを利用することで運用を効率的にすることができるプロトコルがユーザーに利用されています。
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今回は、ステーキングされていたETHが引き出されるようになることで想定される事象を複数シナリオから検討することで、読者に本件における複眼的な観点での示唆を提供することを目的にします。
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