search-icon
academy-icon

不動産の小口利用や所有をNFTで実現する衝撃 3億円完売したNOT A HOTELを中心に考察する

2022年09月08日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • NOT A HOTEL NFTの概要
  • 法的建て付け
  • 同社がNFTにすることのメリットとは
  • ビジネスモデルやプライシングに関する考察
  • 総括

前提

本レポートでは、不動産の小口利用や所有をNFTで実現する衝撃について、3億円分が完売したNOT A HOTELを中心に考察します。
所有権の分割や小口保有などはブロックチェーン、web3の領域でしばらく前から期待されていた領域です。それを不動産、アートなど様々なアセットで行う取り組みは以前からありました。海外プロジェクトでも様々な事例がありますが、NOT A HOTELについてはアプローチが異なり、日本国内で明確にマーケットに受け入れられるモデルが誕生したと言えるでしょう。なおその他の事例については以下のレポート等が詳しいです。
NOT A HOTELは2020年に設立された日本を拠点にするスタートアップで、ホテルブランド開発・販売を手掛けています。元々、NFTによる不動産の小口利用や所有からスタートしているわけでもなく、現在も販売規模などからあくまでメインはホテル(別荘)のオーナー権販売であると判断できます。
同社サービス「NOT A HOTEL」の特徴は、オーナーが自宅(別荘)として利用するか、ホテルとして貸し出すかを使い分けることができる「ホテル兼住宅」物件を販売している点です。オーナーは物件の使い分けをアプリで選択するだけで、ホテルとしてのオペレーションや清掃などは全てNOT A HOTELがサポートされるといいます。
https://shop.notahotel.com/pages/aoshima-surf
https://shop.notahotel.com/pages/aoshima-surf
つまり、ユーザーは別荘を買って、自分で好きに使ってもいいし、それをホテルとして貸し出しても良い、新しいライフスタイルを提案しています。同社は2021年末に初めて物件の売出しをして二ヶ月で約40億円を販売しました。 この際、物件一棟売りや、1ヶ月単位に細切れした所有権を販売していました。
同社が2022年夏に新しく開始したのは、それまで最も細かくても30日単位での販売だったものを、更に細かく1日単位で販売し、それをNFTで実現したNOT A HOTEL NFTです。同NFTは初回の3億円分の販売は完売しています。
https://notahotel.com/nft
今回は同社プロジェクトを切り口に、不動産の小口利用や所有をNFTにすることで可能な拡張性や、発展しうるビジネスモデルなどについて考察を行います。

恐らく実物資産をNFTに絡めた事業を検討する人や、これからそのようなNFTを買おうとする人にとって示唆ある内容になっているはずです。

NOT A HOTEL NFTの概要

まず、NOT A HOTEL NFTの概要ですが、以下の通りです。
  • NFTには2種類あり、「MEMBERSHIP」と「THE KEY」が存在する。どちらも売買できるが、公式から販売されるのは「MEMBERSHIP」。
  • MEMBERSHIP NFTは購入すると365日のうちランダムな日付が割当されて、その日にちが毎年の宿泊日になる。
  • MEMBERSHIPに記載された日程の3ヶ月前に、NOT A HOTELの鍵=THE KEYがNFTとして届く。その年に泊まれる場所はランダムになっており、THE KEYが届くまでどのHOUSEに泊まれるかはわからない。
  • MEMBERSHIP及びTHE KEYは、それぞれOpenSeaなどのセカンダリマーケットプレイスで売買やプレゼントも可能。
  • つまり特定の年に予定が合わなければTHE KEYを売却することが可能。
  • MEMBERSHIPの有効期限は47年。その期間を終えると自動的にBURNされる。
  • MEMBERSHIP Xは3泊同じHOUSEに連続して泊まれるだけでなく、全国のExclusive Houseの利用が可能。

https://notahotel.com/nft
販売はETH建てで日本を含むグローバルに行われました。すでにOpenSeaで売買もされています。なおクリエイター手数料としての費用は7.5%です。
https://opensea.io/collection/membership-s
同社のフラッグシップサービスのNOT A HOTELは別荘の所有ですが、NOT A HOTEL NFTは「偶然、旅する日がやってくる」というコンセプトで分離されています。NOT A HOTEL NFTで配布されるTHE KEYの別荘は完全にランダムで、ハイグレードのタイプは5%ぐらいの確率でしか当たらないとされています。
このレポートは有料会員限定です。
HushHubリサーチの紹介 >
法人向けプラン >

※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。