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TRONの概要と最新の状況|独自のDPoSとエコシステムを分析する

2021年08月17日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • TRONの概要
    • TRONの歴史
    • 3層のインフラストラクチャー
    • DPoSとトランザクション(SR選出)
    • DPoSとトランザクション(ブロック生成)
    • DPoSとトランザクション(報酬と提案)
  • 周辺プロジェクト
  • 総論

前提

本レポートではLayer1チェーンを提供するTRONプロジェクトの概観と最新動向を解説します。TRONはJustin Sun氏により考案されたパブリックチェーンで、DPoSによりTPS(Transaction Per Second: 1秒当たりのTx数)は2,000と高い処理能力を誇ります。Ethereumを参考にしている部分もあり、DeFiなどの周辺プロジェクトもEthereum周辺のプロジェクトを参考にして作られてきました。
しかし最近はDeFiではBSCやPolygonの後塵を拝し、最近流行しているNFTやGame To Earnのブームにもこれからという印象です。また巨大な資本を持つ取引所のBinanceやHuobiが独自チェーンやエコシステムを作るスピード感に追いつかれており、つながりの強かったPoloniexの勢いも落ちているという状況です。
またTRONの歴史はJustin Sun氏の歴史とほぼイコールと言える部分もあり、ウォーレン・バフェット氏とのランチをはじめとする同氏のマーケティング手法にけん引されてきました。しかしBitTorrent社員による報告などレピュテーションリスクの高さに懸念があり、同氏はビジネスから中国のアカデミックサイドに比重を移しているとのコメントもあります。
ただTRONはEthereumとは全く異なる特徴を持っており、興味深いプロジェクトの一つです。本レポートではその歴史からDPoSを中心とした仕組み、またエコシステムや今後について説明します。

TRONの概要

TRONの歴史

まずはTRONの歴史を紐解くと、TRONはEthereumとFilecoinの一部分を引用したWhite Paperを作成して議論を呼び、2018年5月にメインネットをローンチしました。また周辺プロジェクトとして2018の7月に分散型ストレージを提供するBitTorrentを、2020年2月にはブロックチェーン技術を使ったブログを提供するSteemitを買収しました。マーケティング面を見ると、2020年2月に457万ドルでウォーレン・バフェットとのランチを獲得してTRONの名前を宣伝しています。

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以下ではTRONの技術的な部分を解説します。

3層のインフラストラクチャー

レイヤーをストレージ層、コア層、アプリケーション層の3つに分けています。アプリケーション層は他のチェーンと同様にdAppsやWalletなどです。ストレージ層ではStateとChainを別のデータベースに保管しています。またコア層ではスマートコントラクト、アカウント、コンセンサスが存在し、それらを使用するプロトコルとしてJavaが使われています。

DPoSとトランザクション(SR選出)

TRONではコンセンサスアルゴリズムとしてDPoS(Delegated Proof of Stake)を使っています。ブロックの生成は、投票で決まった27のスーパーレプレゼンタティブ(以下SR)が行います。
SRには9,999TRXをバーンする事で誰でも候補になることができます(手数料は候補者のフィルタリングの役割も担っています)。SR選出の投票には誰でも参加する事ができ、参加者はTRXをロックする事でTRON Power(TP)と呼ばれる投票権を得ます。SRに選出されると3秒ごとに生成されるブロックの報酬として32TRXを27のSRで均等に分配し、その報酬を投票者へ分配する事でより投票を集めます。
SRの投票は6時間ごとに行われます。SRはBinanceやHuobiなどの取引所、Justin Sun個人やBitTorrentなどのTRON関係者が多いです。
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