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DeFi機能のミドルウェアを提供するInstadappの概要

2021年07月13日

目次

  • 前提
  • 概要
  • トークン設計
  • DSL(DeFi Smart Laler)の詳細
  • 総論

前提

本レポートではDeFiの様々な操作を一元管理できるプロトコルであるInstadappの概要を説明します。本記事を読めばInstadappについての情報が網羅的に知れることを目的にしています。
Instadappについては2019年にHashHub Researchでもレポートを書いています。その時点ではMaker DAO, Kyber Network, Uniswapの様々なサービスを扱うアプリケーションレイヤーでした。
その時点からInstadappは大きく機能を追加しています。普通に各プロトコルを使うだけでは難しいような特殊な操作や、サイドチェーンのPolygonにも対応したDeFiのワンストップソリューションになっています。また現在はInstadappのポータルが主な機能ですが、将来的にはDeFiの様々な機能をモジュール化して提供するミドルウェアを目指しています。
DeFiのミドルウェアとしてはThe Graphが有名です。GraphはDeFiで必要なトークン価格、過去の取引量、流動性等の情報を分散的に提供するプロトコルですが、対してInstadappはDeFi上の様々な機能をモジュール化してJavaScript等で簡単に実装できるようにします。このレポートではこのInstadappについて、トークン設計や主機能のDSL(DeFi Smart Layer)に焦点を当てて説明します。

概要

Instadappの過去の経緯から解説すると、ETH Indiaのハッカソンで発表されたプロダクトで2018年12月にメインネットをローンチしました。その後に様々な投資家に注目されて資金調達に成功しており、2019年10月1日にはCoinbase等から240万ドル、2021年6月11日にはStandard CryptoやYearnのAndre等から1,000万ドルの投資を受けています。後者の資金調達には同月にローンチしたINSTトークンを使ったのではと予想しています。
機能面では、現状はポータルサイト上でDeFiの様々な操作を可能にする事を主な機能にしています。現状はMaker, Compound, Aave V1/V2, Uniswapに対応しており、Strategyと呼ばれる機能を使うことができます。Strategyは通常では1Txで行うには難しいこれらの操作を1クリックで行うことができます。
  • Vaultの自動化:MakerでDAIを借りた際に、清算が起きそう置きそうな場合に自動で担保率の低いものに借り換えます。
  • 担保のスワップ:CompoundやAaveで担保にしている資産を切り替えます。ファーミングでより効率の良い担保を見つけた際に素早く切り替えることができます。
参照:Instadappポータル
これらのStrategyを使う事でDeFiの運用を効率化することができます。ちなみにこれらの機能にはFlashloanが多く使われているため、Ethereumネットワーク上のFlashloanのボリュームは50%以上がInstadappのものになっています。
TVL(Total Volume Lock)を見ても2021年2月16日のガバナンストークンの発表(ローンチ自体は6月)、4月末にはAaveでPolygonの流動性マイニングの発表から急激に伸ばしており、主要なDeFiプロトコルのTVLを表すDeFi Pulse中では全プロジェクト中2位となっています。
(ただInstadapp中のVolumeはMakerやAaveにも入るものがほとんどでダブルカウントされている点には注意が必要です。)
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