COVID-19以降の貿易金融、及びブロックチェーンの有用性を考察
2020年05月12日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- Executive Summary
- 貿易金融の現状とCOVID-19の影響
- 貿易金融のこれまでの取り組み
- 貿易金融の課題
- 1.貿易金融における市場格差
- 2.紙ベースの貿易金融プロセス
- 3.複数の情報サイロで分断された貿易金融システム
- 4.貿易金融取引におけるリスクとコスト
- ブロックチェーンベースの貿易金融システムが「タテ軸×ヨコ軸」を実現する
- 総論
前提
本レポートでは、COVID-19以降の貿易金融(トレードファイナンス)の課題、そしてブロックチェーンがそれらの課題に対してどのような部分で有効に機能するのかを考察します。
Executive Summary
- COVID-19の影響により、ニューノーマルに即した貿易金融エコシステムのDX化推進の動き。ペーパーレス取引へと移行するよう求められている。
- 物流、金流、情報流が複雑に絡む貿易金融取引は未だ紙ベースの処理が多く、一度の取引に20以上のプレイヤーが関与する場合もあり、時としておよそ5,000近くのデータをやり取りする場面もある。バックオフィスの負担が大きく、それ故に新興国の需要を取り込めていないなど今後の市場成長に関わる課題もある。
- 従来のオンプレミスシステムは「タテ軸」、クラウドベースのソリューションは「ヨコ軸」を意識したものであった。しかし、両者は貿易金融に求められるタテ軸の「セキュリティ、プライバシー」とヨコ軸の「複数主体による連携」がトレードオフの関係でありその両方を同時に実現することが困難
- ブロックチェーンによるデジタル化とは、従来の特定の企業内部やグループ会社同士のやりとりの改善を目的とするものではなく、「企業内の業務プロセスと企業間のそれをシームレスにつなぎ全体最適を目指すもの」である。
- 貿易金融に関わる各社のERPや銀行システム、物流システム、保険システム、各プラットフォームをブロックチェーンをハブにして接続することで真にグローバルな「タテ軸×ヨコ軸」エコシステム構築の可能性がある。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。