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LO3 Energy概要 電力をP2P取引にブロックチェーンを利用するパイオニア企業

2020年01月23日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前提
  • LO3 Energy概要や略歴
  • LO3 Energyの3つの提供製品
  • ニューヨーク・ブルックリンで実験運用をするBrooklyn Microgrid
  • 電力P2P取引を実現するソフトウェアであるPando
  • 電力のP2P取引にブロックチェーンの使用が期待される理由
  • 総論

前提

本レポートでは、ポートランドを拠点とするP2P電力取引を行うLO3 Energy(参照:https://lo3energy.com/ )の概要の解説、および電力をP2P取引にブロックチェーンを利用する事例の概観を行います。

LO3 Energyは電力のP2Pマーケットプレイス構築のパイオニア企業で、ブロックチェーンの活用にも活発に取り組み、様々な提携や協業事例を世界各国で発表しています。電力やエネルギー市場にフォーカスをしたブロックチェーンプロジェクトとしては他にEnergy Web Chainなどが挙げられ、過去にレポートを配信しました。
*レポート:電力系のコンソーシアムチェーン「Energy Web Chain」の概要
https://hashhub-research.com/articles/2019-10-24-energy-web-chain-overview
Energy Web Chainも電力のP2P取引ですが、これらが期待される背景としては、太陽光発電システムを中心とした分散型電源の導入が先進国の家庭や企業で進んでおり、それら発電したエネルギーを販売できるプラットフォーム構築にブロックチェーンが相性が良いと目されていることにあります。
日本においても2016年に実施された電力小売全面自由化、さらに固定価格買取制度(FIT)が今後終了すること伴い、このようなプラットフォームへの期待は高いです。既に述べたようにLO3 Energyはこの分野で多くの取り組みをしており、今回のレポートでは、その概要・略歴を整理したうえで、電力のP2P取引にブロックチェーンの使用が期待される理由を改めて概観します。

LO3 Energy概要や略歴

LO3 Energyは2012年に創業、2015年に正式に法人登記され、現在はオレゴン・ポートランドとニューヨーク・ブルックリンにオフィスを構えています。LO3 Energyは、2016年に世界で初めて、ブロックチェーンを活用したP2P取引の実証プロジェクトとしてBrooklyn Microgridを実施しました。同プロジェクトについてはEthereumに焦点をあてて開発・コンサルティングを行う企業であるConsenSysと共同で行われました。
その後、LO3 Energyは、ブルックリンでの実証実験での成果を基盤として、電力のP2P取引に関わる複数のソフトウェアを開発して、主に小売電気事業者にSaaSとして提供をしています。その主力製品のSaaSがPandoと呼ばれるもので、ブロックチェーンを活用した電力P2P取引のマーケットプレイスを構築する基盤ソフトウェアです。世界中、地域別の様々な小売電気事業者が、P2Pのマーケットプレイスを構築することを支援するようなビジネスモデルと言えるでしょう。ドイツ、オーストラリア、テキサスなどでプロジェクトが進んでおり、日本においては丸紅や京セラなどと実証実験に着手してます。
また、Pandoを核としながらも、LO3 Energyは他にもエネルギーテックに関わる製品を開発しています。LO3 Energyは、シーメンス・住友商事・シェル・Braemar Energy Venture(EVチャージポイント企業のCVC)などから、これまで合計$5.8mを資金調達しています。
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