Facebookがイニシアチブを取る独自通貨およびブロックチェーンであるLibraの基本的要件の概観

目次

  • 前提
  • Libraを概観するためのサイトやドキュメントリスト
  • Libraに関する10の基本要件
  • 初期の参加企業
  • Libraの裏付け資産の運用やLibra Investment Tokenなどについて
  • 総論

前提

本レポートでは、Facebookがイニシアチブを取る独自通貨およびブロックチェーンであるLibraを基本的要件の概観をします。
ブロックチェーン自体はLibra、通貨名はLibra Coinと呼ばれます。
2019年に入り様々な憶測が行われていたFacebookが開発する6月18日にホワイトペーパーが公開されました。
Facebookには、Instagram・Messenger・Whatsupを含める22億人のマンスリーアクティブユーザーが全世界に存在し、ローンチ時点にノードを運用する企業群はいずれもグローバル企業が中心となっており、そのインパクトは非常に大きいことは言うに及びません。
Libraのテストネットはすでにオープンソースで公開され、2020年前半にもメインネットのリリースが予定されています。
Libraの情報については、サイトやホワイトペーパー、ドキュメント自体は日本語化されているものが公式から参照できるので、本レポートではプロジェクト自体の基礎解説は最小限に留め、関連レポートを複数にわけて公開予定です。

Libraを概観するためのサイトやドキュメントリスト

Libraに関する10の基本要件

Libraの基本要件を10に分けて整理します。

1.独自ブロックチェーンLibra

Libraは独自ブロックチェーンとしてローンチされます。
Libraは汎用性があるスマートコントラクトを実行でき、独自のバーチャルマシンとスマートコントラクト言語、コンセンサスアルゴリズムを備えています。
つまり通貨だけではなく、アプリケーション開発が可能であり、EthereumやEOSなどのブロックチェーンとは異なるものでありながら、少なからず部分的に競合します。

2.低いボラティリティの暗号通貨

通貨としてのLibra Coinは低いボラティリティの暗号通貨です。
裏付けとなるリザーブ資産には法定通貨や国債などの低ボラティリティアセットがあり、その価格によって多少の変動します。

3.Libra Associationによってガバナンスされる

Libraはスイスに登記されているLibra Associationによってガバナンスされます。
Libra Associationは、おおよそ100のメンバー企業になる予定で、出資額やLibra Investment Tokenの保有量に限らず、各メンバーは1%以上の投票権は持ちません。
Facebookの100%子会社であるCalibraは、そのうちの1社です。

4.通常のブロックチェーンと同様にPseudo-anonymous

Libraは、通常のブロックチェーンと同様にPseudo-anonymousです。
各ユーザーが公開鍵アドレスを管理し、その公開鍵アドレスのトランザクション履歴はブロックチェーン上に公開されながらも、その公開鍵アドレスは個人とは結びつきません。
Libra AssociationはユーザーのKYC情報は一切扱いませんが、Libraブロックチェーンを取り扱う事業者や取引所は、KYCを行う必要があります。
つまりBitcoinやEthereumと変わりありません。

5.Libra Investment Token

低ボラティリティ通貨としてのLibra以外にLibra Investment Tokenという投資トークンがあります。
これはSecurity Tokenであり、最初のLibra Associat最初のメンバー、つまり機関投資家要件を満たすグループに向けて販売されました。
Libra Investment Tokenの保有者は、アセット資産の運用利回りでリターンを得られます。

6.ノードを運用するための要件

ノードを運用するための要件として、最低でも$10Millionの投資が必要です。
$10Millionの投資の引き換えにはLibra Investment Tokensが得られます。
加えて、ノードになれる目安として以下の3要件から2つ以上を満たす必要があります。
  • 企業の評価額が$1Billion、または$500Millionの顧客資産を持つこと
  • 2000万人程度のグローバルユーザーにリーチできるプロダクトを何かしらの業界で持っていること
  • s&p1200、Fortune500などの指標で評価されている企業であること
ただし強いソーシャルインパクトが評価されるNGOなどの非営利団体がノード運用者になる可能性も考慮されて、その場合には$10Millionの投資は必要ありません。

7.ノード運用のコスト

ノード運用には、初期投資に加えてデータセンター構築などノードの維持費として年間$280,000が必要であることが見込まれています。
NGO場合においてもノードの維持費用は必要であることは変わりありません。

8.FinCEN、規制要件

FacebookはCalibraという100%子会社を設立し、同社はFinCENに監督されます。
Calibra利用には政府発行のIDが必要になります。

9.ローンチ時期

Libraのローンチ時期は2020年前半に予定されています。
テストネットはホワイトペーパー公開から数週間で運用が開始される予定です。

10.パーミションレスブロックチェーンへの移行

Libraはローンチ時点において、限られた企業メンバーのみがノードを運用してネットワークを管理しますが、これはいくつかフェーズを経てパーミションレスに移行をする予定です。

初期の参加企業

初期メンバーは業界別に以下の通りです。
  • 決済
    Mastercard, PayPal, PayU (Naspers’ fintech arm), Stripe, Visa
  • テクノロジー・マーケットプレイス
    Booking Holdings, eBay, Facebook/Calibra, Farfetch, Lyft,Mercado Pago, Spotify AB, Uber Technologies, Inc.
  • 電気通信
    Iliad, Vodafone Group
  • ブロックチェーン
    Anchorage, Bison Trails, Coinbase, Inc., Xapo Holdings Limited
  • ベンチャーキャピタル
    Andreessen Horowitz, Breakthrough Initiatives, Ribbit Capital,Thrive Capital, Union Square Ventures
  • 非営利組織、多国間組織、学術機関
    Creative Destruction Lab, Kiva, Mercy Corps,Women’s World Banking
なおローンチメンバーは、2020年前半に予定されている運用開始により、およそ100に増える見込みであるとされています。

Libraの裏付け資産の運用やLibra Investment Tokenなどについて

この章では、Libraの裏付け資産の運用やLibra Investment Tokenなどについてを概観しましょう。

Libra Reserve

投資家がLibra Investment Tokenと引き換えに投資をした資金は、Libra Reserveに保管されます。
Libra Reserveは、法定通貨や政府債などのアセットに投資され、これらのアセットは地理的に分散されたカストディアンに管理されます。
具体的な比率は執筆段階で明らかになっていません。
このLibra Reserveは、常に暗号通貨Libraの裏付けになります。

ユーザーによるLibraの購入方法

ユーザーがLibra Coinを二次流通市場以外の場所で新規購入する場合、その時点でのLibraのレートで法定通貨を支払います。
しかしこれは直接Libra Reserveに支払うわけではなく、Libra Associationに許可されたリセーラーを仲介します。
このリセーラーが入金情報を通知し、 Libra Associationは新規Libra Coinを生成してユーザーの指定アドレスに送ります。
ユーザからリセーラーに支払われた法定通貨をカストディアンに送金します。

Libra Investment Tokenの保有者への利払い

Libra Reserveの資金は低ボラティリティアセットに投資がされ、これはLibra Investment Tokenの所有者へ還元されます。
同じくバスケット通貨であるIMFのSDRは、国際通貨基金(IMF)は、執筆時点で1.05%ほどの年間金利で構成されています。(参照:https://www.imf.org/external/np/fin/data/sdr_ir.aspx
これと似たような資産に運用するであろうことから金利も同程度に収束するのではないかと予測できます。
利回りで得た資金を元にLibra Associationが運営され、その残余資金でLibra Investment Tokenの所有者への支払いを行います。

総論

本レポートでは、Facebookがイニシアチブを取る独自通貨およびブロックチェーンであるLibraの基本的要件の概観を行いました。
今後、別レポートでは同ブロックチェーンの技術的概観や考察、その他を行います。

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