Ethereum上の分散保険システムであるNexus Mutualの概要。コミュニティでリスクをカバーするDeFiやDApps向けの保険ソリューションについて
2019年06月13日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- コミュニティで補填する保険が利用されていた時代
- Nexus Mutualの仕組み
- Nexus Mutualのユースケースの考察、想定できる課題
- 総論
前提
本レポートでは、Ethereum上の分散型保険システムであるNexus Mutualの概要について解説します。
Nexus Mutualは、コミュニティで様々なリスクをカバーするプロジェクトで、DeFiやDApps向けのスマートコントラクト保険がすでにメインネットでローンチしています。
Nexus Mutualが、カバーする保険の範囲はスマートコントラクトのバグのカバーを想定しています。
そのコントラクトアドレスにバグがあり、そこを攻撃されるなどした場合、それは基本的に巻き戻しが効きません。
スマートコントラクトの脆弱性により、プロジェクトチームが大きな経済的損失をだした事例は過去に多くあります。
Ethereum史上でアプリケーションに対するハッキング事例で、多くの人に最も記憶に残っているものは、2016年のThe DAOでしょう。 The DAO事件は、分散管理をするファンドから、当時時価にして80億円の資金をハッキングされた事件です。 テストされていないコントラクトコードの危険性が明るみになった事件です。
その他の大きい事件として、Parity Technologies社が提供をするマルチシグウォレットの事例があります。 マルチシグウォレットをスマートコントラクトで実装していましたが、そのコントラクトに脆弱性が見つかり、ある期間に作成されたマルチシグウォレットが凍結され、結果、今にいたるまで300億円以上の資金が凍結されています。
このような事件が過去にあったとしても、現在、Ethereumのスマートコントラクトは使用されており、現在広く使われるDeFiなどのアプリケーションでスマートコントラクトのバグが今後発生しないとは限りません。
Nexus Mutualは、こういったスマートコントラクトのバグを補填する分散型保険を開発しています。
Nexus Mutualスマートコントラクトのバグを対象とした保険を最初のターゲットとした後、その他の分野でも拡大する予定であるとしています。
Nexus Mutual自身もEthereum上のスマートコントラクトで稼働しています。
本レポートではこれらの仕組みを解説します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。