【論考・後編】ウォレットは「財布」なのか「代理人」なのか|AI時代に変わるウォレットの役割

2026年09月03日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)

目次

  • 前編のおさらい
  • アイデンティティとアセットコントロールを同じ場所に置いてよいのか
  • クリプトと既存決済は、逆方向から同じ問題を解こうとしている
  • 考察|ウォレットの競争は「自律性」ではなく「委任可能領域」を広げる競争になる
  • 総括|ウォレットは「財布」から何へ変わるのか
    • 参考文献

前編のおさらい

前編では、AIエージェントが送金や決済、資産交換まで行えるようになりつつある一方で、「AIにできること」と「人間が安心して任せられること」は、必ずしも同じではないという問題について考えました。
そこで見てきたのが、ウォレットそのものをAIへ預けるのではなく、使える金額や資産、支払先、期間などを限定し、必要な権限だけを切り出して渡す方法です。さらに、AIへの委任も「全部任せるか、何も任せないか」という二択ではなく、人間が残したい判断だけを手元に置きながら、任せる範囲を少しずつ広げていくことができます。
ただし、それで問題がすべて解決するわけではありません。前編の最後に残ったのが、権限は正しく設定されていたのに、AIの判断そのものが間違っていた場合はどうするのかという問いです。何が起きたのかを記録できたとしても、損失を誰が引き受け、どのように救済するのかは別途考える必要があります。
以上を踏まえて後編では、議論を「AIへどこまで権限を渡すか」からもう一段進めたいと思います。人間がAIへ安心してお金を任せるために、ウォレットや決済インフラは何を管理し、どこまで責任を担う必要があるのか。そして、その変化によってウォレットそのものの役割をどう捉え直すべきなのかについて考えていきます。

アイデンティティとアセットコントロールを同じ場所に置いてよいのか

先述の通り、前編ではAIにウォレットそのものを預けるのではなく、「この範囲なら使ってよい」という権限だけを渡す方法を見てきました。では、その権限を設定したり、変更したりするための「入口」は、何で守ればよいのでしょうか。
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