Messariが発表した「Disruption Factor（DF）」は、Layer2を点数で並べた評価指標です。ぱっと見はよくあるスコア表で、「どのL2が一番強いのか」を決めるランキングのようにも見えます。
ただ、DFを作ったMessari自身が一番強調しているのは、これは勝ち負けを決めるための指標ではない、という点。DFは、投資家や事業担当者が「何となく良さそう」「雰囲気で強そう」といった判断をしてしまうのを防ぐための、思考の補助線として設計されています。

なおDFは、すでに実データを用いて一度スコア算出まで行われていますが、常時更新される完成版の指標ではありません。現時点では、「この見方で評価すると、L2の強さはどこまで整理できるのか」を検証するためのPoC（概念実証）という位置づけです。
言い換えると、これは最終的な格付け表ではなく、評価の物差しそのものを提示する試作品です。

DFが扱っているのは、価格でも話題性でもありません。焦点を当てているのは、「そのL2が、どれだけ現実の利用に根付き始めているか」という現在地です。
ユーザーは実際に使っているのか。経済的に自立し始めているのか。クリプトの外側、つまり企業や非クリプト層と、どこまで接点を持てているのか。そうした観測可能な事実を7つの観点に分け、同じセクター内で相対比較しています。

以下では、このMessariのL2評価フレーム（※試作段階）を、格付け表として使うのではなく、L2を評価する際の論点を揃えるための補助線として、どこまで実務の判断プロセスに持ち込めるかを検証していきます。

MessariのDisruption Factor（DF）を初めて見たとき、正直な感想は「またスコアか」という人が多いと思います。L2が並んでいて、69点、67点、58点……どうしてもランキング表に見える。

でも、この指標をちゃんと読もうとすると、だんだん分かってくることがあります。