Ethereumアップグレード Fusakaの全体像:PeerDASのスケーラビリティと新たなUX
2025年10月30日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- Fusaka アップグレードの概要
- Fusakaに含まれるEIPの一覧
- EIP-7594: PeerDAS(ピア・データ可用性サンプリング)
- EIP-7892: Blobパラメータのみのハードフォーク(BPO: Blob Parameter Only)
- EIP-7918: ブロブ手数料の実行コスト連動
- EIP-7823: MODEXPプリコンパイルの入力サイズ上限
- EIP-7825: トランザクションGas使用量の上限設定
- EIP-7883: MODEXPプリコンパイルのGasコスト増加
- EIP-7934: 実行ブロックのRLPエンコードサイズ上限
- EIP-7935: ブロックGasリミット(デフォルト値)の引き上げ
- EIP-7917: ブロック提案者の決定的先読みを可能に
- EIP-7939: 先頭ゼロビット数カウント(CLZ)オペコード
- EIP-7951: secp256r1楕円曲線(P-256)対応プリコンパイル
- EIP-7642: Eth/69プロトコルからのMerge以前フィールド削除
- EIP-7910: eth_config JSON-RPCメソッド
- 主要EIPの詳細
- ブロブデータのスケーリング – PeerDAS (EIP-7594) と BPOフォーク (EIP-7892)
- ブロブ手数料モデルの改良 – EIP-7918 (Blob Base Feeの下限設定)
- secp256r1プリコンパイルによるUX向上 – EIP-7951
- スケジュール
- 投資家への影響
- 開発者への影響
- 総括
- 参考文献
本レポートでは、Ethereumの大型アップグレード、「Fusaka(Fulu/Osaka)」について、概要を解説します。
今回のFusakaアップグレードは、2025年5月のPectraアップグレードに続くメジャーアップデートであり、ロールアップ(L2)の手数料削減やユーザー体験の向上を主な内容としています。Pectraの計画が複雑さのため二分割された結果、Fusakaでは特にデータ可用性や性能向上に焦点を絞った内容になっています。
上記関連レポート執筆時点では、Ethereum Improvement Proposal (EIP)-7594 PeerDASを記載していますが、これはFusakaに含まれることとなります。
Fusakaのメインネット実施は最短でもHoodiテストネット(10月28日UTC)から30日以上後で、正式日程は未公表(=2025/12/3がACDE #223で開発者が提示した目標日)です。本記事公開時点ではテストネットは順調にパスしています。
本レポートでは、Fusakaアップグレードに含まれるEIPの概要、主要なEIPの詳説、実施スケジュール、そして投資家への影響や関係者が取るべき対応について解説します。
Fusaka アップグレードの概要
Fusakaに含まれるEIPの一覧
コアEIP
- EIP-7594: PeerDAS (データ可用性サンプリング)
- EIP-7823: MODEXPの上限を設定する
- EIP-7825: 取引ガス制限キャップ
- EIP-7883: ModExp ガスコストの増加
- EIP-7917: 決定論的なプロポーザの先読み
- EIP-7918: 実行コストによって制限される BLOB 基本料金
- EIP-7934: RLP実行ブロックサイズ制限
- EIP-7939: 先頭のゼロをカウントする (CLZ) オペコード
- EIP-7951: secp256r1 曲線サポートのプリコンパイル
その他のEIP
- EIP-7892: BLOBパラメータのみのハードフォーク
- EIP-7642: eth/69 - マージ前のフィールドを削除する
- EIP-7910: eth_config JSON-RPC メソッド
- EIP-7935: デフォルトのガス制限を60Mに設定する
Fusakaアップグレードには13件(内9件がコア)のEIPが含まれ、大きく分けて、
- データ可用性とブロブ(Blob)拡張に関するもの
- ネットワーク性能・安全性強化に関するもの
- ユーザー体験の向上に関するもの
が実装されます。以下、それらEIPの概要です。なお、主要なEIPについては後段で詳細を記載します。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。