Berachainメインネットローンチ後の現状分析
2025年02月25日
この記事を簡単にまとめると(AI要約)
目次
- 前提
- PoLの概要と現状
- PoLの仕組み
- EVM互換性の拡張と開発者向け機能強化
- Beraborrowが発行する$NECTステーブルコイン:エコシステムにおける新たな選択肢
- なぜ「$NECT」が必要なのか?
- $NECT の仕組みと特徴
- Boycoプラットフォームの役割と成果
- 従来の問題点:コールドスタート問題
- Boycoとは?
- なぜBoycoは画期的なのか
- エコシステム拡大の現状分析
- 主要DAppsの展開状況
- リスク要因の最新分析
- 流動性集中リスク
- インフレ制御の課題
- 競合プロトコルとの比較
- Berachain独自のブートストラップ手法に伴うリスク
- 今後の展望
- 1. PoL(Proof of Liquidity)の本格始動と最適化
- 2. DeFiエコシステムの深化:多様なdAppsと相互連携
- 3. GameFi・SocialFiの拡大とユーザー層の拡張
- 4. ブリッジ戦略とオンボーディングの容易化
- 5. 投資家にとっての着眼点とリスク
- 総論
前提
従来の Proof of Stake(PoS) に代わる Proof of Liquidity(PoL) コンセンサスを採用する Berachain が、2025年2月6日にメインネットを正式にローンチしました。2024年5月時点ではテストネット段階にありましたが、現在は大きく進化しており、特にBeraborrowが発行する新たなステーブルコイン「$NECT」や Boycoプラットフォーム の動向が注目されています。
PoLメカニズムの実用性が市場で本格的に検証され始めた今、本レポートでは、Berachainエコシステム拡大の原動力となった要因と今後の課題を、投資家視点から分析します。
BerachainやPoLについて知りたい方は以下のレポートを参照してください。
【関連レポート】
PoLの概要と現状
Proof of Liquidity(PoL) は、ブロックチェーンネットワークのコンセンサスメカニズムの一種であり、「ネットワークの安全性を維持する手段として流動性の提供を活用する」 という新しいアプローチに基づいています。 従来のProof of Stake(PoS)では、バリデーター(取引を検証してブロックを生成するノード)の選出基準として、ステーキングされたトークン量が重視されます。一方、PoLでは、ネットワークへの流動性提供が選出基準となるため、単にトークンを預けるだけではなく、流動性プールに資産を供給する必要があります。これにより、ネットワークのセキュリティ確保と流動性の増加が同時に促進されるという利点が生まれます。
PoLの仕組み
PoLメカニズムでは、Berachainエコシステム内で以下のプロセスが機能します。
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流動性提供とBGTの獲得
ユーザーは BerachainのネイティブDeFiプロトコル に流動性を提供することで、ガバナンストークンである $BGT(Berachain Governance Token) を獲得します。
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バリデーターへのデリゲーション(委任)
ユーザーは$BGTをバリデーターに委任(デリゲート) することで、バリデーターがブロック生成の権利を得る仕組みになっています。
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ブロック生成と報酬分配
バリデーターは、委任された$BGTの量に応じた確率でブロック生成を提案し、成功した場合に報酬としてBGTを獲得します。報酬の一部は、ホワイトリストに登録された流動性プールに分配される(BGTエミッション)ため、さらなる流動性を呼び込みます。
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「Bribe(賄賂)」による委任促進
バリデーターは、追加のインセンティブ(Bribe)を提供してユーザーからの委任を獲得しやすくする仕組みも利用できます。これにより、バリデーターはより多くの$BGTを集めることが可能となり、ネットワーク全体の流動性向上にもつながります。
EVM互換性の拡張と開発者向け機能強化
BerachainはEVM(Ethereum Virtual Machine)と互換性があり、既存のEVMアプリケーションをそのままBerachainネットワークへデプロイできます。Berachainは、L1およびL2チェーンの作成を可能にするモジュールフレームワークBeaconKitを用いて構築されており、このBeaconKitはCosmos SDKを基盤としています。
その結果、Berachain上で開発されるアプリケーションはEVM互換性を維持したまま、カスタムのレイヤー1やレイヤー2ソリューションを作成できるようになります。将来的には、EthereumのDencunアップグレードに伴う改善にもスムーズに対応可能になるとみられています。
※免責事項:本レポートは、いかなる種類の法的または財政的な助言とみなされるものではありません。